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□落日
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 上下する腹を何とはなしに眺めていたら、眠くなってきた。月森は横たわる土浦の髪を撫でる。このまま眠ってしまうのが惜しいと思わせるような寝顔だ。
 ようやく月森にも見せてくれるようになった無防備な顔は、警戒した顔ばかり見ていた月森にはまだ新鮮だ。もしかしたらずっとこの表情にときめくかもしれないと思う時もある。
 土浦が寝返りをうつ。月森の方を向いて、まるで抱きつくような体勢になる。愛しくて月森は抱きしめた。土浦は気持ち良さそうに寝たままだ。額に口付けると、月森も目を閉じた。夕日が部屋を赤くしていた。
       終

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