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□春来たりて
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ああそろそろ響也の誕生日か。新しい生活が始まる忙しさに忘れるところだった。律は部屋を片付ける手を止めて、カレンダーに見入る。
何も用意できなかった。忙しさにかまけているうちに驚く早さで時間が経っていた。カレンダーを見つめたままぼんやりと考える。何ができるだろうか。何をあげたらいいだろうか。何をあげることができるだろうか。その思いはすぐに形になり、律はヴァイオリンを手に取った。
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