小説

□春の歌
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第1章

「じゃあな。」
彼はそう言って電車に乗っていった。
私、一人だけを残して。


彼は東京の大学に行くからって一人で上京した。
行く前に「本当にいいか?」って聞かれた。
本当は行ってほしくなかった。ずっと一緒にいたかった。
だけど、彼は何を言っても聞かないだろうから。

それに私も彼の夢を応援したかった。
「東京で医者になるんだ。」
それが前からずっと言ってた彼の夢。
本当に行くとは思ってなかった。まだ時間があるって思ってた。

どっちにしても私は「いいよ。」と言っただろう。
そうしか言えなかったんだ。

はっきり言って、あの時間ずっと笑っているのはしんどかった。
平気な顔をしていたけど、本当はかなり無理してた。
でも、笑わなきゃ、耐えられなかった。
行ってほしくない。でも、彼は行った。


それから、3ヶ月がたった。
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