小説

□暗闇の中の光
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暗闇の中の光。
それは命よりも愛しいもの。
わたしはそう思う。

わたしはずっと1人だった。
この世に生まれたときから。
ずっと1人で、孤独のまま死んでゆくのだろうな、と何度も思った。わたしはそれを寂しいとは感じなかった。
感じては、いけないような気がした。

そんなとき、出会ってしまった。
出会ってよかったのか、それは今でもわからない。
しかし、それは暗闇の中の光だったのは確かだった。

夕暮れの公園。静寂な夜が訪れる少し前に、わたしはそれに出会った。
それはとても暗い暗い目をした女の子だった。
わたしの目にそっくりだと思った。
目があって、笑ったことが無かったわたしは、
どうにかして笑おうと目を細めた。
女の子は孤独だった。
その目が物語っていた。
わたしをじっと見つめるその目は、涙がもう二度とでないように、厚い膜を張っていた。

わたしたちは毎日公園で遊んだ。
女の子は、日に日に元気になった。
それは、わたしも同じことだった。
わたしたちはよく似ていた。

ただ一つ違うのは
わたしは猫、女の子は人間ということだけだった。
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