text
□奪われなかったもの…
2ページ/6ページ
目にしたのは風呂の真ん中でユーリがぐるぐると回っていた………というものだった。
こうやって見てみると確かにもう少しユーリを向こうに帰すのに配慮というのを与えてやってもいいのでは…と、思う。
(どれだけへなちょこでもユーリは魔王なのだしな…)
魔王の割には酷い扱いだ…。
ぼくは少しユーリに同情した。が、しかし…それとこれとは話が別。
まだユーリとの決着が先延ばしにッ………違った、ぼくのユーリが眞王の勝手で向こうに送られてしまう!!
そう考えると、どうしてもそれがぼくには゛ユーリを奪われる゛様に感じて……
ぼくは言葉では言い表せられない様な悔しさと焦りを感じた。
ユーリを取られるなんて冗談じゃない!!
゛ユーリ!! ゛
ぼくはまだ脱いでいない下半分の服をそのままに、ユーリの元へ駆けていった。
眞王勝てるとは思えない。彼は我々にとって絶対的な存在だ。
……でも、少しでも望みがあるのなら…