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□夢と現と闇の中…
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夢と現と闇の中……
もう誰もが眠ったであろう暗闇の静かな時の中に未だ一人だけ夜の住民になってはいない者がいた。
自室の広い部屋の奥で大きな窓を開け放ち、少し冷たい風に髪をなびかせ、小さな吐息とともに眠気を覚ましていく。
周りからこの姿を見てみれば住民は眠気などそっちのけでその者の美しさに目を潤ませ一時の安らぎを得ただろう…
ある一種の人にはそれこそ、あらゆる所からの汁…ぃや水滴をだらだら…はらはらと、こぼしたに違いない…
だが今は、彼以外には誰もいない。
麗しい真っ黒な髪が風で揺れ風呂の柔らかい匂いをただよわせている。
でもどんな雰囲気の言葉を並べ立てても今の本人の気持ちにそうものは何一つなかった…
「はぁ…あいつまだ帰って来ないのかなぁ…」
彼が帰ってこなければこの者にとってはまったく意味がないのだ…もぅ3日も待っているのだから…。
「もうそろそろ帰って来てもいいのになぁ…ったく、いつまで人を待たせる気だよ!!本当に…」
これ以上口に出してしまえば楽にはなるだろうが、そんな自分の素直さを認めたくなくて…
行き場のない言葉を心の中に言葉の続きを吐き出した。