6周年記念ss

□果てしなく遠い空に 
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I wish I were …
6周年記念小説





『果てしなく遠い空に』









住む場所が違えども構わない。


そう思っていた。
生きていてさえくれるのなら、何も望んだりはしないと。


幸せだったのだ。
共に過ごした日々が余りにも眩しくて…
貴重だった、と気付かぬ程に。


平気だと思い続けた。


こうやって想いながら瞳を閉じれば、何時だって鮮明にあの時の姿が思い返されて、
今も、元気でいる筈だとそう言いきかせた。







そうやって誤魔化さなければ、
いつか壊れてしまいそうで。

いつの間にか、そればかりを恐れるようになってしまっていた。


日に日に鮮明差が、陰って行く想い人の残像。

いつだって耳に残った気持ちの良い声が聞きたくて堪らない。


恋をしている。

それが、こんなにも自分自身の心を左右していただなんて…









空を見上げれば目に映る全ての青空が、雲が、そしてこの風が、

お前の元 へ遠く離れたぼくの想いをきっと届けてくれるからと、



そう、願い続けていた。










だから…







だから。


この果てしなく遠い空に、

今までの目まぐるしかったあの瞬間(とき)を与えてくれて本当に有難うと、
そう、想いを馳せて。


両手を広げただけでは、収まりきらない青い青い空。

嗚呼、まるでお前が笑っているようだと、
眩しい笑みを思い出してはお前が恋しくて、独り名を呟いては焦がれた。







信じている。


真実の光が明るさを増して、きっと其方へ届くことを。



願っている。


嘘を吐いてしまったこの闇がいつか消え去ってくれることを。


自己満足に過ぎるかもしれないなんてとっくに分かってる。

それでも、今は何も出来ないから、せめてぼくのこの想いだけでも何かを変える力になりたいと。

彼の心がスベテを変える力に為るというなら、
ぼくはそのココロを支える力に為りたい。

きっと今も同じ、
真っ白な貴方の心に誓いを立てよう。

ありのままで美しい真っ白な貴方の御魂に…








ひとつ約束しよう。

ぼくは此処で生きている。



遠く離れていても、この想いを今は直接伝える事が出来なくても。

想いがやがていつか、運命に辿り着いて、


限りにない強さをきっと見つけられる様に。



今誓うよ。

この果てしなく遠い空に向かって。




必ず…


「必ず貴方の御許へ…」




















end.



2010.3.20
Chiharu Kasuga
























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