夢の外

□俺と鏡と翠の少年
1ページ/3ページ

主人公side




俺とアルノは双子だ。
俺が兄で、アルノが弟。似てるって言ってもフレッドとジョージ程ではなく、色んな違いがある。
髪の分け目、性格、ピアスの有る無し、そして眼の色……………。

幼い頃から眼の色が兄弟で違うことが不思議でしょうがなかった。親に聞いてもはぐらかされてばかりだったが、両親の碧い眼が答えだった。
アルノの碧い眼と、俺の翠の眼……。
どちらが異端であるかの判断材料なんて、幼い俺にすらそれだけで充分だった。









だから自分の眼が嫌いでしょうがなかった。生憎翠の眼をした人間はこの世に少なくて、周りを見て安心する事すら許されてこなかった。それが故に、いじめを受ける事も少なくなかった。
でも叔父さん_____ムーニー叔父さんが、眼の色のせいで1人になっていた俺によく話しかけてくれた。
昔ホグワーツにいた頃の思い出。こんな授業があって、こんな幽霊がいて____こんな面白い友達がいて…………。
よくムーニー叔父さんは俺に昔の友達の写真を見せてくれた。今はもういない人ばっかだったけど、弱虫なピーターに、問題児だったシリウスとジェームズの2人組。写真の中の彼等はいつも笑っていて、ひとりぼっちだった俺の心の支えであり、憧れの対象だった。






今年は1人、翠の眼の子が入学してきたらしい。

ハリー・ポッター。

世間のニュースに疎い俺でさえ知っている、例のあの人から唯一逃げられた人物。
そして、憧れのうちの1人、ジェームズ・ポッターの息子。


はじめての同じ色の眼の人間に、胸が高鳴る。

会いたい。話してみたい。



でもまだ会う時じゃない気がして、そっと蝋燭に明かりをつける。
布団からルームメイトを起こさない様そっと出て、長い冷たい廊下を歩いていく。
幸運な事にまだ一回も見つかると面倒な先生には見つかった事はない。
真っ直ぐある部屋にたどり着くと、重たい扉を開ける。



「おじゃましまーす………。」
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ