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□Fly
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「神ってさ残酷だよな。」






「へ? なに、遅めの中二病なの?」







訓練の合間の僅かな休息中に 砂糖とミルクたっぷりの激甘コーヒーを飲みながらファルコンJr.は
ふぅ、と溜め息を吐いていた。


そんなファルコンJr.を訝しげに見詰めるギークは咄嗟に"パートナーが中二病になってしまったら"と
自作のタブレットで検索を掛ける。





「バカヤロウ。中学生なんざとっくに卒業してるわ」





「…そういう所が中学生なんだけどなぁ、まあ良いや。んで なんで神様は残酷なの?」






「んー、だってさぁ…」






"そういう所が中学生"というギークの言葉に不服そうに眉を歪めつつ、
マグカップをテーブルに置き ファルコンJr.は口を開いた。





「俺たちが明日、殺さなきゃいけねぇ奴等にだって家族やら恋人やらが居るんだぜ? 今更情を買うなんてことはねーけどさ、殺されずとも死んでく人間を作った神が、1番残忍で残虐な殺し屋なんじゃねーかなー、とか思ったわけよ。」






「…ハヤブサは馬鹿だね。」






「あー?どーせ俺は頭脳派のギークとは違…んッ…」






むくれて反論するファルコンJr.の唇に突然、温かく 柔らかいものが触れた。




チュッと音を立てて離れたそれに変わるように
ファルコンJr.の身体は
よく知る甘い香りのする細い胸に抱き締められる。





「ぎ……く ?」





「…俺は、神は残酷だとは思わないなぁ。」




か細い声でギークは ぽつり ぽつりと呟く。





「え…?」





「ふふ。ハヤブサが変なこと言うから、からかっただけだよっ」







ファルコンJr.から離れるとギークはいつものように笑っていた。





「な、なんだよ、びっくりしたじゃんか。」








「ねえハヤブサ、一つ質問があるんだけどさぁ、」







「ん?何?」







「標的がどんな強敵でも、ハヤブサは必ず殺せる?」






「当たり前だろ。俺はそれが家族だろうと、殺す。それが俺の使命であり御前と一緒に居るための術だからな。」







ファルコンJr.はそっとギークの手を取る。






「…それがもし、___でも?」








「……え?」









ギークは 笑いながら涙を溢していた。



end
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