wrwrd まとめ

□記憶がもたない男(その後)5
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叩き付ける雨の音。
ギシギシと軋むベッドと、耳を塞ぎたくなるような音。
感情とは裏腹に、勝手に熱くなる身体をやり過ごすため、ひたすらにシーツを握り枕に顔を埋め耐える。
『grさん、…』
『…っかは、あ、やらあ…!!』
『こうするの、好きな癖に…』
腕を引かれ、指を咥えさせられ口を抉じ開けられる。
より深く穿たれる熱杭に、grは閉じられぬ口から苦しい息を吐き出した。
『貴方が、いけない…。素直に声を出すように…教えたはずだよ…?』
『…あっ、は、あ…ごめん、なさい…っ!!』
『ああ、それとも…』
御茶が足りなかったのかな?と、震え声を出すgrを、狂気混じりの愉悦を称えて愛しくemは見つめ笑う。
特製のオクスリ混ざりの、御茶。
『お気に入りですもんね…』
感度を高めさせ、乱れさせる変わりに記憶が飛ぶのが難点ですが。と、クスクス笑いながら腰を打ち付ける。
『ひ、あ、あ、奥、くるし、い…もう、や、だ、…っゆるして、くれ』
かすかに喘鳴の聞こえる声での哀願。
それはそうだ。
もう、出せるものもなく…ひたすらドライで極めさせ続けているのだから。
『は、ああ!!や、あ、なんで、また、…っっふぅ、う!!…!!』
『すごい、grさん…っ、すっかり中だけでイきっぱなしですね…』
ぎゅううと締め付ける感覚を引き剥がす様に、わざとゆっくりと出し入れすれば、grは狂ったように鳴き声を上げる。
『ま、だ…いってる、のに……っまた、んんっく
ひあああ!!!や、ゆっくり、いやや!!おかしくなる、からあ』
『嫌、じゃなくて、…好きでしょう?』
『…っあ、あっ…ふん、う』
快楽に濡れ焦点の定まらない瞳がわずかに揺れる。
一ヶ月間。
言わなければ解放してもらえない事を身体で学んだgrは、感情を無くした眼差しで答える。
『好き…、すごく好き…だから、ゆるしてくれ

それは、偽物の言葉。虚しいが、自分が一番ほしい言葉。
『よくできました…ご褒美…ですよ』
更に最奥を一気に穿ち、孕めとばかりに熱を吐き出す。既に何度も射精していた分もあり、緩んだ後孔からは白濁が溢れ太股を伝う。
『…あ……っ、す、き……』
腹に広がる新たな熱を感じながら、grは背中を弓なりに反らす。その肩に、うなじに、背中に。
新たに噛み痕を刻みながら、意識を手放す『愛しい人』をemは折れるように抱き締めた。


世界は狭く、儚く。
幸福とはひどく得難く、切ない。


目を覚ますと夜だった。
空けたまま閉め忘れたカーテンから、青い月が差していた。
…どうやら、あのまま二人とも眠っていたらしい。grは、身体に跡を残したまま眠っている。
陽光を縒り集めた様な金糸の髪に、長い睫毛。
薄い色素の肌を指先に楽しみながら、emは薄く微笑んだ。
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