流星
□僕の気持ち
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「ヒーラー、一緒にお茶飲まない?」
彼女があたしの部屋の扉からひょっこり顔を出した。それを視界の端で確認したあたしは、つい口元が緩む。
「いいわよ。今日は何の紅茶かしら?」
本当は紅茶の味なんてなんでもいいの。あんたと飲む紅茶は何でもいつでも美味しいもの。
「今日は疲れてるようだったからキャラメルミルクティーにしました。別のものがよかったかな?リラックス効果のあるものとか?」
「大丈夫よ。いただくわ」
本当は甘いものはそんなに好きではないの。でもいいの。あんたと過ごす時間はなによりもあたしを癒してくれるから。
「ファイターとメイカーの所へは行かなくていいの?」
本当は行かなければいいと思ってる。だって少しでも多くの時間をあんたといたいから。
「二人はプリンセスとお茶を楽しむそうですよ。ヒーラーも一緒にって言ったんだけど、今日は疲れてるようだったから部屋まで持って行ってあげてと頼まれたの」
「そう。あたしのことなら気にしなくてもよかったのに」
本当はそんなことこれっぽっちも思ってない。ずっとずっとあたしの傍にいればいいと思ってる。
レンはプリンセスの側近だ。プリンセスの右腕と言われ、仕事も忠実に確実に卒なくこなすし、身の回りのお世話も見事なものだ。あたしたちにも本当によくしてくれる。『完璧』という言葉が彼女には相応しい。
明るくて、元気で、世話好きで、そんなレンをあたしは好きだった。好きと言っても“仲間”として。ファイターやメイカーに対するものと同じ。他意はない。それ以上でもそれ以下でもなかったはずだった。
あの夜までは…
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