過去ぱちぱち
□柳宿Side 3
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あんたと再会して、自分の気持ちに嘘をつくのはやめようと決めた。
自分の気持ちに素直に生きようと決めた。
だから…
今晩の星見祭りにあんたを誘ったのに…
「ダメだわ…」
あんたと二人でどう過ごせばいいのかわからず、悩み、気付けば夜が明けようとしていた。
なにもこんなに悩むこともなかったのかもしれない。
いつものあたしのままで、いつも通りでよかったのかもしれない。
でもね…
相手があんただってだけで、いろんなこと考えちゃって…
いつもの自分がどんなだかわからなくなっちゃうの。
星見祭りに誘ったときのあんたは、少なくともあたしには喜んでくれているように感じた。
でも本当にそうなのかしら?
あんたのことだもの、無理して付き合ってくれようとしたんじゃないの?
無理して?
じゃあ本当は誰と行きたかったの?
あんたの心の中には誰がいるの?
結局、あたしの出した答えは、美朱たちも誘ってみんなで行くというもの。
翼宿を誘うのはなんだか癪だけどね…
あーあ、あたしってこんなに情けない人間だったのかしら…
自分の気持ちに素直に…そう、決めたのに…まだ心が追いついてないなんて。
「っ!!ダメダメ!弱気になってちゃダメよ!」
もう朝日が昇ってきた。しのごの言ってられないわ。
とびっきり可愛い服を見立ててあげるから、一先ずそれで許してもらおうかしらね?
2018.9.7