巻物ー恋物語ー
□第二章
1ページ/4ページ
その日の夕食は美朱ちゃん、七星士と私、総勢九名での食事となった。みんなとはすぐに打ち解け、名の呼び方もすぐに変化した。巫女は美朱ちゃん、七星士たちは七星名、私は恋といった具合だ。
こんなに大勢で食事を摂るなんて一体いつぶりだろうと食卓をぐるりと見渡しながら頬を緩ませていると、突然翼宿が話を振ってきた。
「なんや、そないしてたらほんま普通の女にしか見えよらんな」
「ん?私?」
そうやと言う代わりに首を大きく縦に降る翼宿。
確かに今日会ったばかりの小柄な私が戦いの中に身を置いているとは想像できないのだろうと思った。
「私体も小さいし…頼りにならなそう?」
信頼を築く程の時間を共にしていないのだから仕方のないことなのだが、なんとなく心がしょげた。そんな私に気付いてか、意外な所から擁護が入った。それも私の胸を揉みながら…
「っ?!きゃっ!」
「翼宿〜恋ちゃんに失礼だよ!顔もこんなに可愛くて、ほらっ!こんなにスタイルも良くて…守ってあげたくなるのはわかるけどさ、きっと恋ちゃん強いよー!だってあの太一君が送り出してくれた人だもん!ねー!!」
本当大きい…羨ましいなど言いながら美朱ちゃんはまだ私の胸を揉んでいた。それを見た七星士たちはというと、鬼宿と翼宿は手で鼻を押さえ、軫宿は慌てて張宿の目を覆い隠し、星宿様と井宿は苦笑い、柳娟はポカンと口を開けたまま箸を落としていた。
「あっ…ありがとう美朱ちゃん。でも…これ必要ある?」
私の胸を揉み続けている美朱ちゃんの手を指差して、その必要性を問いてみる。
「あっごめんね。だってさー過去に二度も騙されてるからぁ」
ジト目で星宿様と柳娟を見る美朱ちゃん。二人を見て本当に女であるか確認したくなる気持ちもわからないでもないと妙に納得してしまった。いや、そもそも確認の仕方に問題があるような気がしたが、そこは敢えて口を噤んだ。
.