巻物
□くりすます ぷれぜんと
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今日は12月25日。恋と柳宿は宮殿に向かって歩いている。というのも、先日柳宿に異世界のクリスマスの話をしたところ、柳宿が興味を持ったので、みんなを呼んでクリスマスパーティーをしようということになったのだ。場所は広い方がいいだろうと、星宿が宮殿の広間はどうだと提案してくれたのだ。
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「星宿様、お元気でいらっしゃいましたか?」
「星宿〜、今日は場所の提供ありがとうね!」
「柳宿も元気そうだな。恋も。いいのだよ、恋の頼みだ。私に出来ることならなんでもしよう」
「ふふ、ありがとう。それにお料理まで…本当にありがとうね」
満面の笑みを送る恋に、星宿は満足そうに微笑んだ。
みんなが集まるまでに部屋の飾り付けをと恋と柳宿は手早く飾り付ける。そうこうしていると…
「だー!遅くなったのだ〜。恋、久しぶりなのだ!」
「わー、井宿!相変わらず突然出てくるのね!」
「みなさん、こんにちは!お久しぶりです」
「やぁ張宿、元気にしていたか?」
「わりぃ、遅くなっちまった。あいつのメシ食ったら腹痛くなっちまってよ…」
「たまちゃん、あんた…いつになったらまともなご飯食べさせてもらえるわけ?」
「もうみんな揃ったのか?」
「軫宿も!うん、みんな今来たとこだよ!」
「あとは…翼宿だけねぇ」
「ねっ、あれ!翼宿じゃない?おーい翼宿〜!!」
遠くの方で翼宿が何やらブツブツ言っているが、まだかなりの距離があり聞き取ることは出来ない。長い時間を掛けて、ようやくこちらに辿り着く翼宿。
「ゼェ…ハァ…ゼェ…ハァ…なっなんでオレがこないなもん持ってこなあかんのじゃい!」
それはクリスマスには欠かせないツリーだった。
「だって、あんた山の中に住んでんでしょ?木なんてそっこらへんに腐る程生えてると思って」
「そらそうやけど、なんで木が要るんや?それもなるべく大きいやつて注文までつけよって!おかげでいつもの倍の時間かかりよったわ」
「ごめんね翼宿。クリスマスは木に飾りを付けて、クリスマスツリーっていうのを作るんだよ。大きな木の方が豪華でいいかなぁって思って欲張っちゃった!」
「ほー、そうなんか。せやかてこないな大きい木に飾る飾りなんかあるんか?」
「それなら任せなさい!ほら、あたしたちがたっくさん作ってきたわよ」
柳宿はドヤ顔で大量の飾りが入った袋をみんなの前に差し出した。
「よーし!みんな揃ったし、早速ツリーの飾り付けしよー!」
翼宿が持ってきた木を柳宿の怪力で庭に立ててもらい、みんなそれぞれ飾り付けていく。軫宿の背丈程の大きさがあったが、8人で飾り付けると、そう時間は掛からなかった。