お祝いの華を
□お菓子はありません
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お菓子はありません
ナギ京
「よし、終わったー」
京鵺は、大きく伸びをすると椅子に座った。
それは、今回のハロウィンイベントが終了したからだ。
今回のイベントは、チャリティー活動でIDOLiSH7・Re:valeとの仕事であり今回はとても充実した時間になった。
「京鵺、それじゃ 先に事務所に帰っててね」
姉鷺は、まだ仕事が残っているらしく残念そうにそう言った。
「わかった 姉鷺さん、無理しないでね」
京鵺がそう言うと姉鷺は優しく微笑んだ。
「もちろんよ」
姉鷺は、そう言うと携帯を取り出して電話を掛けていた。
おそらく、TRIGGER関係の話だろう。
三人とも次の仕事に向かってしまった後なので容易く想像できる。
そうだ、と京鵺は笑うと電話をしている姉鷺に飴を手渡した。
姉鷺は、最初はきょとんとした顔をしていたがやがてハロウィンだとわかると嬉しそうに笑った。
その表情は、男性かと疑うほど綺麗で嬉しくなった京鵺も微笑んだ。
「………えっと…」
あれから姉鷺とも別れてタクシーに乗るように言われたのだが。
心配だからと何処まで行くのか書いたメモももらったのだが。
「……」
京鵺は、楽屋から出て何処が出口なのかわからないのだ。
「……皆と確かに来たのに、、」
ダンスの振り付けや、ステップのタイミング・位置は直ぐに覚える京鵺だが方向音痴で場所はよく間違えるようだ。
「出口…………えっと…」
京鵺は、地図を見るが自分が今何処に居るのかもわからずに途方に暮れていた。
「OH!
キョウヤじゃありませんか!!」
京鵺は、突然自分の名前が呼ばれて驚くとそこにはナギが京鵺のことを見て微笑んでいた。
モンスターの衣装ではなくなっていることからナギも帰宅するところなのだろう。
「六弥さん!」
京鵺は助かったと感じ、ナギに自分の現状を伝えるとそれは大変でしたね、と慰めてくれた。
「では、ワタシがキョウヤをタクシーまでお連れいたしますよ」
優しく微笑んだナギに京鵺は申し訳なさそうにしながらもお願いすることにした。
すると、ナギはいきなり京鵺と手を繋ぐと歩き出した。
「出口からタクシーのところまで少し距離がありますから」
そこまで連れていくと言うナギに京鵺は頭を何度も下げてお礼を言うのであった。
たわいもない話をして歩いていた。
美形のナギと並ぶことは恥ずかしいと京鵺は言っていたがナギは京鵺の方がお姫さまみたいで並ぶことが恥ずかしいと笑った。
京鵺は、ナギは悪気があって言っているわけではないことを知りながらも自分はやはり背が小さいのだと感じ心で涙を流していた。
涼しい風が二人を包むと京鵺は外に出たのだと気付いた。
一人の時では広く迷路のように思えた建物がナギのおかけで小さくなっていく。
「キョウヤは、今日 楽しかったですか?」
ナギの質問に京鵺は嬉しそうに言った。
「はい!! IDOLiSH7やRe:valeの皆さんと一緒でしたから!!」
ナギは少し目を見開くと京鵺から視線を外して指を指す。
急にどうしたのだろうと、京鵺は視線を奥へと向けるとそこにはタクシーが止まっていた。
「もう着いたんですね、ありがとうございました」
京鵺が頭を下げようとするとナギはそれを止めて京鵺の顔に手を出してきた。
京鵺は、ナギの行動の意図がわからずに首をかしげるとナギは口元に笑みを浮かべ静かに声を出した。
「trick or treat!」
へっ…?と間抜けな声を出して京鵺は困った顔をする。
持っていたお菓子は子供たちにあげてしまったし、残っていた飴も姉鷺にあげてしまった。
「えと……………すみません!
お菓子は持ってないんです」
京鵺は正直にナギに言うとナギは悲しそうな顔をした。
「OH……それは困りましたね」
それでは、イタズラをしなければなりませんねと微笑むナギに京鵺は困った顔をしていた。
「…………それでは…」
ナギの言葉が消えると京鵺は何をされるのかわからずに目を閉じると手の甲に何かが触れる。
慌てて京鵺が目を開くとナギが京鵺に膝まずき、京鵺の手の甲にキスをしていたのだ。
「な、、ナギさん!?」
京鵺は、直ぐにハンカチを取り出すとナギの前に差し出した。
「汚いですから!!」
京鵺がそう慌てて言うとナギは微笑んだ。
「これはイタズラですよ!
マイプリンセス!!」
瞳を輝かせて言うナギに京鵺はアワアワとしながらもイタズラなら仕方がないとお礼を言った。
「ふふ、ナギさんは面白い人ですね」
京鵺が花のように笑うとナギは顔を少し赤らめた。
京鵺をタクシーまで送り届けたナギは京鵺と繋いでいた手を見て嬉しそうに笑った。
「やっと見付けました、、ワタシだけのマイプリンセス!!」
ナギは瞳をキラキラと輝かせて夢中にタクシーに乗り込んだ京鵺の姿を見ていた。
京鵺はそんなナギの気持ちを知ってか知らずか優しく微笑んでナギに手を振っていた。
完。
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