K-Boys

□泪
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ジニョンの頬をツーっと涙が伝う。
一滴、また一滴と…

事の始まりは本当に些細なことだった。

ある番組の収録後、ジニョンとジェボムが言い争っていた。

どちらかが悪いわけではなかったが、これからの俺たちを考え、心配した上での口論だった。

かなり長い間続いていた。

他のメンバーは誰も口を挟むことができなかった。

そして、険悪なムードのまま宿舎に戻ってからはそれぞれ部屋に籠ってしまった。

俺は、もちろんジェボムのことも心配だったけど、やっぱりジニョンのことを放っておくことができず、音を立てないようにして寝室に入っていった。

そこにはベッドの淵に腰をかけながらハラハラと涙を零すジニョンがいた。

声をかけることが憚られるくらい美しいジニョンの姿を見て、俺はしばらく呆然と見続けていたが、いつまでたっても泣きやまないので不安になり、

ジ、ジニョン…

恐る恐る声をかけた。

ジニョンはパッと俺の方を見て、初めて俺が部屋の中にいたことに気づいたようで、

ヒ、ヒョン…
いつからいたの?
全然気づかなかった…

そう言って慌てて涙を拭いながら無理やり笑顔を作ろうとする。

その笑顔が切なすぎて、俺はジニョンの元に駆け寄りギュッと抱きしめた。

マークヒョン、苦しいよ〜

ジニョンが俺の腕の中でもがくが、俺はさらに力を込めてジニョンを強く抱きしめる。

ジニョン

耳元で呼びかけながら、次の言葉を考える。

俺達がいることを忘れないでくれ

ただ一言だけ。

それでもジニョンには通じたようだった。

ヒョン…ごめんなさい…

と言いながら俺の腕の中で泣き崩れていった。

俺に身体を預けたジニョンの背中をポンポンと撫でながら、ジニョンが落ち着くのをゆっくりと待つ。

どのくらいの時間がたっただろう。

ジニョンの鳴き声も小さくなり、ようやく落ち着いてきたようだ。

俺はジニョンの顔を上げさせて、目元の涙を指で拭い、その指を舐める。

そして…乱暴にジニョンの唇を奪う。

んっ…

驚いたような顔をしてジニョンが身悶えるが、俺はそれを許さず、ジニョンの唇を貪り続ける。

んんっ…

段々と抵抗が小さくなったのを見て、ようやく押さえつけていた腕を離す。

ジニョンの目を見つめ、ニコッと微笑んで、今度は優しく抱きしめながら、

ジニョン…
俺さ、悲しいんだ

慌てて身体を離そうとするジニョンを制して続ける。

ジニョンが泣いてたことが悲しいんじゃないよ
ジェボムとあんな言い争いをしてたのが悔しいんだ
俺にはあんな姿を見せてくれたことがないよね

と拗ねたように言うと

そんな…

ジニョンが反論しようとするが、抱きしめる力を強めてそれを止める。

分かってる
ジニョンが差をつけているわけでも俺のことを信頼していないわけでもないって
でも、ホントに悔しかったんだ

話しながら何故か涙が溢れてしまった。

俺の涙に気づき、ジニョンが目元に優しくキスをしてくれる。

ヒョン、本当にごめん

俺の目を見つめながら、

僕、ホントに自分勝手だったね
こんなに心配してくれる人がいるのに
ジェボムヒョンにも謝らなきゃ

そう言って立ち上がろうとするジニョンの腕を引っ張って引き寄せる。
バランスを崩したジニョンとそのままベッドに倒れこむ。

今じゃなくても大丈夫だよ
ジェボムだって分かってるよ

ジニョンに微笑みながら囁くとジニョンも儚げな微笑みを返しながら、俺にしがみついてきた。

それから俺たちはしっかりと抱きしめあったまま夜の帳が下りていった。

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