K-Boys

□触れそうなのに
1ページ/1ページ

久々にバラエティの仕事でジニョンに会えた。

ドラマの仕事がタイトだったらしく、ちょっと頬のあたりがこけた気がする。

ジニョン、体調は大丈夫?

収録が始まる前に尋ねてみる。

ジニョンは俺の目をじっと見つめ、ニコッと笑いながら

うん。大丈夫だよ。
マークヒョン、心配してくれてありがとう。

と返してきた。

多少の心配はあるものの、ジニョンが大丈夫だと言っている以上、過剰な心配は機嫌を損なうだけなので、大人しく引き下がる。

で、今日のお題は…

ポッキーゲーム

ヤバい!
どうしよう?
ジニョンが他の奴とペアになったら嫌だけど、俺が相手になったら冷静でなんかいられない…

一人であたふたしながら皆がクジを引いていくのを見守る。

心臓に悪いクジ引きの結果は…

ユギョムが司会者
ジェボムとヨンジェ
ジャクソンとベンベン

そして、ジニョンが俺の名前が書いてあるクジを引いた。

そこからは他のペアのことなんて全く目に入ってこなかった。
ちゃんとリアクションはしていたつもりだけど、俺の視線はジニョンの唇に釘付けだった。

いよいよ俺たちの番がきた

ヒョン、負けないからね

ジニョンが無邪気な笑顔で笑いかけてくる。

お、おう。
俺だって負けないよ。

声が裏返りそうになるのを抑えながらバラエティ用の顔を作る。

お互いにポッキーの端を咥え、スタンバイしていると、ユギョムが

それでは、マークヒョンとジニョンヒョンのポッキーゲーム、スタート!

とフラッグを振る。

ジニョンは挑発するような目をしながら少しずつポッキーを齧りながら近づいてくる。

周りのヤジが耳に入らないほどドキドキしながら、俺も少しずつ齧っていく。

誰かが

おーっと!
このまま行くと、本当にキスしそうです!

などと叫び、わーっと歓声が聞こえてきた。

俺は

このままキスしたいな〜

と思って、バラエティにも関わらず、じっとジニョンの目を見つめたまま近づいていった。

けど、さすがに収録中だということを自覚しているジニョンが、あとちょっとというところで、自分からポッキーを折ってしまった。

周りからは

あ〜あ〜

などと残念そうな声が上がり、内心では

俺が一番悔しいんだよ!

と叫びたかったが、さすがにこれ以上欲望丸出しのままでいるわけにはいかないので、バラエティにふさわしい顔でカメラの前に立ち、最後まで乗り切った。

収録後、一人で控え室で休んでいたら、ジニョンが入ってきた。

あれ?
マークヒョン一人?

何事もなかったかのように話しかけてくる。

大人気ないとは分かっていても、ジニョンが全く悔しそうにしていないことに腹を立てて、

あーあ、ジニョンとキスしたかったのにな〜

と思いっきり拗ねてみた。

ジニョンはビックリしたような表情をして、

だって、収録中だよ?
さすがに皆の前ではマズイでしょ〜。

とあっさりと返してくる。

俺は、ますます悔しくなって、

そんなの分かってるけど…

と頬を膨らませて軽くジニョンを睨みながら、

じゃあ、皆の前じゃなきゃいいよな?
ここなら誰もいないし、しよ?

と言って、ジニョンに迫ってみる。

ジニョンは困ったような笑みを浮かべながら、

でも、誰が来るか分からないし…

そう言うと、ジニョンはおもむろに人差し指と中指を自分の唇に押し当て、その指をそのまま俺の唇に触れさせた。

これで、我慢してね

とジニョンは軽くウインクして、呆然としている俺を残して控え室から出て行った。

俺は頭を抱えながら床にへたり込み、

あれ?
俺の方が主導権を握ってたと思ったんだけど…
もしかして、ジニョンの方が上手?

本当にキスをするよりもずっと照れくさくて、頬の赤みが取れるまでしばらく控え室から出れなかった…

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ