K-Boys

□逢えない時間
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ジニョンがドラマのために地方で缶詰となってしまった。
歌番組の収録などもないし、俺は俺で雑誌のインタビューやグラビア撮影などもあるので身動きが取れない…

もう3日も会ってない…

もちろん毎日電話をしている。
でも、それだけじゃムリなんだ。

ジニョンの顔を見なきゃ、あの眼を見つめたい…

もう夜中の1時

いくらなんでも撮影は終わってるよな。

ベットに寝転んだまま、すでに1時間近くスマホを見つめたままだ。

ジニョンからの連絡がない。

毎日、撮影が終わったらジニョンから連絡がくることになっている。
大抵は俺の方が先に終わるから。
いくら撮影が長引いても日付が変わる頃までは電話をくれていた。

なのに今日は…

鳴らないスマホを見つめ、遅々として進まない時計の針を見つめ、すでに何度目か分からないため息をつく。

あぁ、もう‼

このままじゃ、どうやっても眠れない。

まだ撮影中だったら迷惑をかけちゃうけど、その時はその時だ。

トゥルル、トゥルル

呼び出し音が鳴る。

2回、3回…

やっぱり、今日は撮影が長引いているのかなと諦めて切ろうとした時に

ヒョン…?

ちょっと気だるい感じのジニョンの声が聞こえた。

ジニョン⁉

半分諦めたところに聞こえた声に動揺しつつ、それを気取られないように繕いならがら

えっと…撮影は終わったの…?

と尋ねたら

うん。
今日は撮影がスムーズに進んで早めに終わったから、ここまでの慰労会ということで、皆でちょっと飲んでたんだ。
今はホテルに戻って来て、寝ようかな?と思ってたとこ。

などとアッサリと言われた。

フツフツと湧き上がってくる怒りを抑えながら、

へー。
俺がどんな思いでジニョンの電話を待ってたかも知らないで、ジニョンはそのまま寝ようと思ってたんだ。

と言ってしまった。

ジニョンは初めて自分のミスに気づいたようで、しどろもどろになりながら、

ヒ、ヒョン、ごめん。
ホテルに帰って来た時には12時も過ぎてたし、こんな時間から電話したら迷惑かもって思ったから…

俺が何の反応もしないせいで不安になってきたらしく、最後は聞き取れないくらい小さな声になっていた。

マークヒョン…?

恐る恐る呼びかけてくる。

俺はどうやっても我慢できず、

ああーっ‼

と叫び、

ジニョン!
今から行くから待ってろよ!

と言い捨てて、ジーンズとTシャツにだけ着替え、バイクに飛び乗った。

電話の向こうでジニョンが何か言いかけていたけど、そんなん知るか!

ジニョンの泊まっているホテルまでは片道1時間。
往復でも2時間しかかからないのに、その時間すら惜しいということでホテル住まいになってたくせに…

さすがに事故ったり違反したりしたらマズイので、それなりに安全運転で、でも最大限飛ばしてホテルに着いた。

ホテルの入口にはマスコミやファンの子がいるので、そこから入るわけにはいかず、キーもないのでジニョンに電話をした。

ワンコールも鳴らないうちに

ヒョン!
今どこ?

ジニョンが泣きそうな声で俺を呼んでいる。

もうホテルまで来たよ。
でも、中には入れないみたいだから、ジニョンが出てきてよ。

俺は様々な感情を抑えながら呟く。

わ、分かった。
裏口から出てくから待ってて!

ジニョンが慌てたように電話を切る。

俺は裏口の壁に背中を預け、気持ちを落ち付けようとする。

バタン!

息を切らせてジニョンが駆け寄ってくる。

ヒョ

言いかけたジニョンの唇を無理やり塞ぐ。

んっ。んんっ。

ジニョンが身を解こうとするけど、俺は許さない。

息ができなくなるまで貪り、満足したところでジニョンを突き放す。

バランスを崩したジニョンは地面に倒れこみ、目を潤ませて俺を見上げてくる。

マークヒョン…

ジニョンの目線に合わせてしゃがみこみ、

ジニョン、俺がどれだけの思いでジニョンの電話を待ってたか知らないんだろ?

と冷たく言い放つ。

ジニョンは俯いて、小さな声で

ごめんなさい…

と呟いた。

ホントはもっと冷たくして、ジニョンを苛めたかったけど、やっぱり会えたことが嬉しくて、ジニョンをギュッと抱きしめ

俺の気持ち分かってるでしょ?

と耳元で囁いた。

ジニョンは俺に縋りつくように抱きつき、

ヒョン、本当にごめんなさい…

と潤んだ目で見上げてきた。

この目に弱いんだよな〜と諦めて、答える代わりに優しいキスをした。

頭を撫でながら優しく抱きしめ、

よし!
満足した!

と言って、またバイクに跨った。

ヒョン⁉

驚いたようなジニョンに

俺も明日早いんだよ。

と言って、ソウルに向けてバイクを走らせた。

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