K-Boys

□おまじない
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やばっ!

しばらくタンブリングをしていなかったので、何となくしたくなっちゃって思わずバック宙をしてしまった。

やっちゃったな〜。

久々過ぎて準備運動が足りなかったらしい。
左足首に違和感を覚える。

まぁ、捻挫まではいってないし、レッスンの後、ちゃんとケアすれば大丈夫だろう。

それよりも、誰も気づいていないよな?

辺りをキョロキョロと見回すが誰も俺のことを見ている人はいないようだ。
一瞬、ジニョンの視線を感じたような気がしたけど、振り付けの打合せに集中しているみたいだし気のせいだろう。

その後は、誰にも気づかれないように細心の注意を払い、ジャクソンとじゃれ合ったり、いつも通りの俺を演じながら必死にレッスンを乗り切った。

けど、やっぱり足首には負担がかかっていたようで、宿舎の部屋に戻った頃には結構な痛みが押し寄せてきた。

早くケアしないと…

そう思って、ベッドから立ち上がり、救急箱を取りに行こうとしていたら

コンコン

部屋のドアがノックされた。

ヒョン、僕だけど…

ジニョンだ。

慌てて足首を見られないように布団をかけて隠す。

普段通りの声で

ジニョン、どうしたの?
入っていいよ。

と声をかける。

ガチャとドアが開き、両手を後ろに隠したままのジニョンが入ってくる。

なんか怒ってる?

そんな表情のまま俺に近づいてきて

はい。

おもむろに目の前に救急箱が差し出される。

え?

キョトンとした表情でジニョンを見上げる。

ジニョンは怒ったような顔のまま

僕が気づいてないと思った?

俺がなかなか救急箱を受け取ろうとしないので、業を煮やしたようにベッドのそばにしゃがみ込み、中から湿布と包帯を取り出す。

早く足、見せて

え?

もう!

いきなりジニョンが布団をめくり、俺の左足を掴む

言っとくけど、ヒョンがタンブリングで着地した瞬間、変な表情になったことも知ってるし、レッスン中も左足をかばってたの知ってるから!

相変わらず怖い顔のまま、俺の足首に手際よく湿布をして包帯を巻いていく。

もしかして、みんなにバレてた?

恐る恐る聞くと

みんなが気づいている訳ないじゃん!

ジニョンがキッと睨んでくる。

綺麗な顔で睨まれると、さらに怖いな〜

などと場違いなことを考えていて、ふと

え?じゃあジニョンは何で気づいたの?

と何の意図もなく聞いたところ、ジニョンの顔が見る間に真っ赤になっていった。

そ、それは…

聞き取れないくらい小さな声になりながら、

ずっとヒョンのこと見てるから…

と呟いた。

え?だって、誰にもバレてないと思ったんだぞ!

突然の不意打ちにあたふたしながら、ジニョンを見つめる。

ジニョンは頬を赤く染めて俯きながら

そりゃ〜他のみんなにバレたくないし、ずっと見つめてるってヒョンが知ったら気持ち悪いって思うかな?って不安だったし…

あ〜可愛すぎる!

ジニョンを抱きしめようとするが、スルリと身をかわし

ダメ〜

と言われてしまう。

何で?

お預けをくらった犬のようになりながらジニョンを見ると

僕、怒ってるの。
ヒョンがケガをしたのに僕に言ってくれないから。
僕、そんなに頼りない?

怒ってると言いつつ、泣きそうな表情で見上げてくる。

押し倒したくなる衝動を必死に抑えながら、

ゴ、ゴメン…
心配かけたくなくて…

素直に謝るが

うん。ヒョンが僕に心配かけたくないって思ってるのは分かるけど、そう思ってることがムカつくからキスはさせてあげない。

とそっぽを向いてしまう。

ジニョ〜ン

情けない声になりながらジニョンを呼ぶが、ジニョンは振り向いてくれない。

でも、ヒョンが早く治ってくれないと困るからおまじないしてあげる。

いたずらっ子のような目をして、ジニョンがいきなり俺の左足首にキスをした

ジ、ジニョン⁉

ジニョンは素早く立ち上がると救急箱を持って部屋から出て行こうとしながら、一瞬振り返って

後でゴハンとかも持ってきてあげるから、絶対安静で寝てること!

とウインクをして出て行った。

あんなことして出てくなんて拷問かよ〜。

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