ヒーローに興味無いけどヒーロー目指します。

□1.緑谷出久:オリジン
2ページ/18ページ

sideー出久ー



「お前らも中学三年生ということで、そろそろ将来を本格的に考える時期だ!」



進路希望のプリントを手に先生が教壇に立つ。


「今から進路希望調査を行うが、皆!!」



皆、考えるのは同じってことか。



「大体ヒーロー科志望だよね。」


「「ハーイ!!!」」


先生の言葉にほとんどの人が個性を発動し、手を挙げた。


無個性だけれど、僕も控えめに挙手。



世界の誰もが憧れる職業、"ヒーロー"。

…………誰もが、とは言い過ぎた。



チラリと左隣の席を見ると、幼馴染みの楓華が机に突っ伏して………寝たフリをしている。

本当に寝ていれば今この教室は、暴風に巻き込まれているだろう。
それが彼女の個性の欠点だ。




「先生ぇー!皆とか一緒くたにすんなよ!!」


楓華の前に座るもう一人の幼馴染み、かっちゃんが声をあげる。



「俺はこんな"没個性"共と仲良く底辺なんざいかねぇよ。」

かっちゃんの言葉に周りがたてつく。

「おいそりゃねぇだろカツキ!!」

「モブがモブらしくうっせぇー!」


そんな風に嘲笑うかっちゃん。



そういえば、かっちゃんはどこを受けるんだろう………?


僕の些細な疑問はすぐに解決した。




「確か爆豪は"雄英高"志望だったな。」


そんな馬鹿な………!



「国立の!?今年の偏差値79だぞ!」


多くのトップヒーローを排出する、雄英高校。

僕もヒーローへの憧れから志望している。



…………まさか志望校が同じだなんて……………。

頭を抱えて溜め息を吐いた。

「あのオールマイトをも越えて、俺はトップヒーローとなり必ずしや高額納税者ランキングに名を刻むのだ!!」


かっちゃんは机の上に乗り上がり叫ぶ。

もし志望校が同じだなんて知られたら…………せめて、この場ではそのことを言われたくない………。


場が収束することを祈ったが、


「────そういや緑谷も雄英志望だったな。」


どうやら、上手くはいかないらしい。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ