ヒーローに興味無いけどヒーロー目指します。

□opening.
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春の陽射しが暖かい四月。



桜の舞い散る季節だが、それを舞い散らしてるのは、


「こらテメェーっ!!楓華ー!!!」

『げっ、もう来た………。』




巻き起こした風に乗る私、涼風楓華だ。




爆発を繰り返しながら追ってくる不良………もとい、幼馴染みの爆豪勝己から逃走中。

風の勢いは周囲の草花をも散らして吹き荒れる。



困ったな………まさかこんなに早く追い付かれるとは………。

このまま逃げるだけなら捕まるのも時間の問題、どうしたものか………。



『…………ん?』


前方に、緑のモサモサ頭を発見した。


『出久、おはよう。』

「あっ、楓華おはよ────!?」



もう一人の幼馴染み、緑谷出久が私の追手を見てギョッとしていた。


「おいデク!ソイツ捕まえろ!!」

「ええええ!!!?」

『出久、こっち。』


風を強く吹かせて出久の背を押す。


「いやちょっと、なんで僕まで!?っていうか何したの!?」

『今日はまだ何もしてない。』

「"今日は"!?」


あ………でも昨日、ヤツの激辛バーガーとやらを超甘はちみつバーガーにすり替えたっけ。

それに気づかず帰宅、その後に食べてやっと気づいた…………。



『それで今更怒ってるなら………本当に器が小さいというか、みみっちいというか………。』

「それ完全に楓華が悪いよね!?なんでかっちゃんにそんな甘い物を!!」


………………………。


『…………暇潰し?』

「暇潰しレベルのイタズラじゃない!!!ってああああもう来てるよ!!」


チラリと後ろを見ると般若………違った、勝己が近づいていた。


『何あれコワッ。アレもう敵だよね、ぶっ飛ばしていいよね。』

「ダメだよ!?」


一度立ち止まって一点に風を集中させる。

ギリギリまで溜めて、溜めて。



「楓華!!お前な───」



今。




勢いの強い、旋風が巻き起こる。


それを一気に勝己向けた。

「は!?いやちょっ────!!!」


風に巻き込まれた勝己は風圧に耐えれず、ゴロゴロと転がっていった。

それを見て私はガッツポーズを決める。

『よしっ。』

「"よし"じゃないよ!!あぁ……学校で何言われるか………。」

『無視一択。』

「それができたら困らないよぉ…………。」


まぁ出久は色々気にしすぎなんだろう。



風に乗りながらいつものように出久と学校へ向かい、このあといつものように勝己に絡まれる訳だが…なんてことはない。



それが私達の日常だ。






………まぁそれも、長くは続くわけないけど。




●●
 

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