長いお話

□1
2ページ/2ページ




あれ?ここどこだ?


私今、なにしてるんだろう?


新学期の教室だったよね?

「・・・だ….し…………志田」

誰かの声がする

私の苗字を読んでる


「起きろ志田!!」

バシッ


大きな声とともに私の頭に振りかぶった何か

それと同時に頭に鈍痛がする


「…いって!!!」


ヘッドホンを外せば目の前には私を叩いた何かを持った土田先生がいた


「いてっじゃねぇよバカ!!
新学期始まって早々に寝るとは何事なんだよ!」

「今から始業式?」

「もう終わったよバカ!
おめぇがスヤスヤ眠ってる間に終わったんだよ!」

周りを見渡せばみんな私を見て笑ってる

ふと仲のいいオダナナ、あかねんと目が合いバカにしたような顔をしてる

「じゃあ購買行ってきてもいいですか?」

朝はなにも食べない主義の私は昼寝もしてお腹ぺこぺこ

早く購買に行きたかった

「待て待て気を焦るな!
今日はもう1つお知らせがあります
うちのクラスに、転校生がきました!」

一斉にザワザワし始める教室内

『転校生だって〜』
『可愛いのかな?』
『男の子ですか〜?』
『いやんなわけないじゃん!』

男なわけねぇだろ

ここ女子校だっつーの


「男なわけねぇだろ!
おーい、入ってきていいぞー!」


みんなのバカみたいな話に突っ込みながら土田先生は転校生と思われる子に声をかけた


生憎私は転校生になんか興味のひとかけらもない

だからもう一度ヘッドホンをして
腕を組んで机に伏せた時

つっちーの後ろから現れた転校生の姿に自分の目を疑った


私よりは暗い色で少しだけ巻かれた髪

細くて長い指

背は高くて制服でわからないがきっとスタイルは抜群

はっきりとした二重に綺麗な顔立ち



''容姿端麗''



その言葉がよく似合う、女の子だった


私は一瞬で、彼女に引き込まれた


たぶんそれは私だけじゃない

きっと教室中の全員が、彼女の魅力に引き込まれた


つっちーが黒板に彼女の名前を書く



''渡辺 梨加''



彼女の容姿に似合う可愛らしい名前


「いいかー。今日からこの教室で….まぁ、面倒だから省くぞー。渡辺、挨拶しろ」

面倒くさがりのつっちーは自分での自己紹介をさせようとするも彼女は応えようとしない


2分。


彼女は黙ったまま俯いている

『どうしたのかな?』
『緊張したの?』
『下向いてて顔見えなーい』

『渡辺ー?どうした?挨拶、できるよな?』

つっちーも少し困ったように話しかけるも
未だに喋ろうとしない

さらには唇を隠し始める

「……んん〜」

その姿は少し笑ってるようにも見えた

『笑ってる?』
『今笑う要素あった?』
『わかんないけど、面白いね』

さっきまで緊張した雰囲気だったはずの教室が、彼女の笑いで和やかになる

その雰囲気にか、やっと言葉を発した



「…渡辺….…梨加….です」



たった一言。

小さなか細い声だったのに
それだけでみんなは拍手した

「まぁこんなやつだが、仲良くしろよー。
って事で、お前の席は….」

つっちーは教室を見渡すけど、空いてる席は私の横しか空いてない

私の席は窓側から2列目の1番後ろの席

空いていたのは一番端の私の左隣だった


「じゃあ志田の隣、空いてるだろ?
あそこがお前の席だ。
志田ー、あんまりいじめるなよー」

「…いっいじめねぇよ!!」

空いてる席に行くように誘導され私の近くに来る


緊張し過ぎて顔を見れない

直感だけど、彼女は自分の席に着くまでに私を見ているような気がした



けど、初めて思った




仲良くなりたいって
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ