短編

□初夕日
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「「みかーん!!!」」


年末最後の日。

この日あたし達は紅白歌合戦という大切なテレビに出させていただいた。

ほんとは最後までいたかったけど、
未成年だからしょうがない

「あっぺりちゃん!」

仕方なく寮に帰って理佐、ねると一緒に年を越す事にした。

テレビをNHKに合わせてみればちょうどベリたちが一番後ろで歌ってる所。

いいなぁ、最後まで出れて。

3人でコタツの上の蜜柑を食べながら
しみじみ思う

「ベリ超可愛いね」

ベリがテレビに映る度にそう思う

けどほんとき可愛くない?
美女じゃん?

まぁうち以上に可愛いと思ってる奴がここにいるんだけどね?

「....梨加ちゃんも一緒に入れたらなぁ」

そんな事を呟く理佐。


理佐はベリが好き

それはメンバーだからとかゆう意味じゃなく
恋愛対象としてのW好きW。

つまり、片想い中なわけだ。

「ベリも呼ぼっか?」

「けどまだテレビ局でしょ?」

「年越しは無理かもだけど終わったら来るんじゃん?」

「....まぁ誘うだけ誘ってみたら?」

とか言ってほんとは会いたいくせに。

ほんと素直じゃない

一応LINEでW今ねると理佐と3人で年越してるんだけど、ベリもこない?W

と言っておいた



「....おっしゃーー!
また理佐の負けー笑」

「理佐よわーい」

あの後3人でムーミンかるたとかババ抜きをしたけど、全部理佐が負け

カードゲーム弱すぎだよ

「次人狼ゲームねー」

「今度は負けないからねー」


ピコンッ

人狼ゲームを新しく始めようとした時
うちの携帯に通知がきた

「あっベリだ」

うちの口からベリという言葉が出た瞬間、
理佐の身体がピクッと飛び跳ねて固まる

「なんてきたと?」

「ちょっと時間かかるけどいい?だって」

理佐の顔を見たら緊張してるように見えた

そうとう好きなんだね

今は言わないでおこう

ベリのLINEに続きがある事は。

「全然いいよね、理佐?」

「....う、うん」


それから何度もゲームをしたけどやっぱり
理佐が緊張してるみたいで

身体が硬い。

1時間後くらいだったかな

部屋のドアがノックされた

「....愛佳?」

「ベリぃぃぃぃ!お疲れ!」

なんだかうちもベリに会いたくなって
ドアを開けてベリに勢いよく抱きついた

すごいいい匂い

なんかベリって超モチモチしてんだよなぁ

ちらっと理佐の顔をみたらものすごいうちを睨んでて笑ったちゃった。笑

「....ンン...愛佳苦しい」

「あっごめんベリ。
そうだベリ、みかん食べる?
理佐がね、ベリの為に残しといてくれたよ?」

「....理佐ちゃんが?ほんとに?」

「.......まぁ」

「....ありがとう、理佐ちゃん?」

照れてる理佐超絶可愛いな、おい。
微笑んで首傾げるベリ最高かよ、おい。

照れてんじゃねぇよ理佐

まぁこれは照れないわけがないけど



その後、ベリが来たから改めて明けまして
おめでとうって言いジャンプした

縦飛びだと一秒もとんでられないという
うちとねるの考えで飛ぶリハしてたから

4人でやった時はちゃんと
高飛びの飛び方で実行した

その後のことははっきりとは覚えてない

4人でずっとトランプとか色んなゲームして、気づいたら朝だった

朝まで起きてたはずなのに
初日の出見てないなんて笑っちゃうよね

ゲームに真剣になり過ぎてた

それから少し眠くなってきたから
もう寝ようってなって雑魚寝状態で寝てた


「....んー...よく寝た」

「あっ愛佳起きたと?」

起きた時、ねるのが先に起床して
布団の中で携帯いじってた

そういえば今何時だろ

「ねるちゃーん、今何時?」

「4時だよ?」

「まだ4時かぁ」

「もう4時だよ?」

「なんでもうなの?」

「だってW夕方Wの4時やけん」

頭が真っ白になった

ん?夕方の4時?

朝じゃなくて?

いやいや、いくらなんでも寝すぎでしょ。笑

まぁそれでもベリはまだ寝てるんだけどね

「ベリ寝すぎじゃない?」

「疲れてるんっしょ?
ペリちゃんは昨日遅くまで仕事やったし」

「じゃあ寝かしといてやるか」

「......」

「あ、理佐も起きた」

「....愛佳うっさい」

寝起き悪いなー

「...ねる?どうしたの?」

「....もうすぐの初夕日が昇るね」

窓の外を眺めるねるがキラキラ輝いて
嬉しそうに笑う

子供みたいでなんだか可愛い

「ねる。初日の出見れなかったし、初夕日見に行こっか」

「いいね。理佐は行かんと?」

「....私はいい。
梨加ちゃんと待ってるよ」

「...理佐はだめだね。
ベリ起きた時に1人だったら可哀想だし」

「....あっそうゆうことか、わかった」

理佐、今がチャンスだよ

ふたりきりになれる。

せっかく気をきかせたんだから、ちゃんと
想い伝えなよ

「....理佐」

「...なに?」

コートを着て部屋を出る前に理佐はすごくこっちを見てきた

なんだよこの野郎

バカな私でも、ベリのLINEの続きを今言った方がいいってわかる




「....ベリがLINEで言ってたよ」



W理佐ちゃんが居るなら行こうかなWって



ベリはそう最後に言っていた


これってそういうことだと思う


だって好きな子が居たら自分も行きたくなるじゃん?

少しでもチャンスがあるかもしれないし
少しでも近づけるかもしれない

よかったね、理佐。

来年は4人で初日の出が見たいな



「うぉーー!超綺麗じゃん!
ねーねるちゃん?」

「モナってさ、お人好し?」

「なんだそれー。お人好しではないなぁ
欲しいもんは欲しいし」

「....じゃあバカ?」

「バカはもう悪口でしょ?
否めないけどさ」

「だって好きなんでしょ?ペリちゃんの事」

「それはねるちゃんだって一緒じゃん。
...理佐が好き、でしょ?」

「....バカだよねぇ、私」

「それはお互い様」

「けど好きな人の幸せを願っとる自分がいる」

「その好きな人の好きな人がわかってたら
尚更だよね」

「来年も一緒に見に来ようよ、初夕日」

「また初夕日?」

「初日の出は、4人で見よう。
好きな人達と一緒にさ」

「そうだね」
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