短編

□僕たちの戦争
1ページ/1ページ




「...なんでよ!!」


大好きな彼女が久しぶりに来たから
家に入れてあげて

彼女が好きな炭酸ジュースの入ったペットボトルを手に取った時に言われた

友香のパパが私達のことを反対してるって。


「...パパがね、ダメだって。
......私には婚約者がいるんだって」


だから今まで会いにこなかったってワケ?

その人と会っていたから?

信じられなくてそばのペットボトルを
壁に投げた

投げた衝撃でキャップが外れ吹き出した泡は止められない

さっきまで久々に愛しい人と会えて
晴れやかだった気持ちがどんどん重たくなる

こんな曇天の中、何を見出したらいいの?


「...友香のパパは、私の何を知ってるってゆうの?!何を知ってて私を否定するの?!」

「落ち着いてよあかねん!」


取り乱す私を見てそんな事言うけど

そんな言葉で説得されたって
ここでどんな顔すればいいっていうの?

婚約者がいるなら仕方ないと言えばいい?

友香はしょうがないと引き下がれるの?

そして君はこんな私より
お似合いの誰かを探すのか?

「...私は友香が好きなのに」


「...私だって好きだよ。
.....けどわかるでしょ?私の家の事...」

そんな事、わかってるよ

友香の家が厳しいことくらい

それでも私は友香が好きでこれからも一緒に居たいんだよ


今日はあいにくの雨で開いてる窓から冷たい風と枯葉が入ってきて

2人一斉に窓の方に目線が入った


そのあと私を見つめる友香の目からは、

雨が吹き込むから窓を閉めた方がいいと
勝手に言われてる気がしてきた


友香の本心はどこにあるのだろう

こんなにも同じ時を過ごしてきたというのに
急に心のドアは完全にロックされた

その心を叩いてずぶ濡れの私が待っているのに、無視して。

それでも、私はやっぱり友香が好きで
嫌いになんてなれなくて

やっぱり、ドアの鍵を探してる

拒絶された心の鍵はどこにあるんだろう


「.......時間が欲しいの」

そんなに泣かれたって
友香が悪い訳じゃないのに

何度も涙を流す友香


「...お願い」


友香をもうこれ以上、苦しめたくない


それじゃあ僕が居なくなってしまえば

またいつものように笑ってくれるの?


また、微笑みは帰ってくるのかな?


愛は一つだけなのかもしれない

誰の愛しさを正しいとするか


私は、友香しかいない


友香が愛しい

手を友香の方に伸ばせば彼女は素直に
握ってくれた

友香も、私が愛しいと言ってくれてるようだ

今でもあなたは私を信じてくれているのか?


「...私はもっと.....友香と居たい」

「..........私もだよ」



そうなら私は友香をさらってやりたい

けど今強引に私が彼女を連れ出したって
傷つけるだけだろう


私の心は怒りに震えてる

友香にじゃない

何も出来ない自分の無力さと不甲斐なさに。


もし転がったボトルのキャップを戻して冷静になったら何か変わる?

手に残る不快な感触は
洗うだけで忘れてしまえるの?


繋いでるこの手を離しここで失えば
絶対に一生君を見つけられない

友香以外、見つからない

それなら繋いでる私の手を君が離さなければいいじゃない



だって私は何があったって友香を
命を掛けて幸せにするよ

自信があるよ


「...友香を連れ出したい」


友香がどんな答えを出してくるかわからない

友香を連れ出して傷つけるだけかもしれない


けどそれでもやっぱり

私は友香と居たい


愛はたった一つだけ

私は友香への愛を
友香への愛しさを正しいとするよ





「友香、愛してる。
....一緒に来てくれない?」






.

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ