短編

□抜け出して....
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「はいもういっぽーん!!」
「部長!そろそろ休憩を....」
「何言ってんのよ!
これくらい打てなきゃ試合になんないでしょ」
「でも部員が....」

「あーもうわかったわかった!
じゃあ今から暫く休憩ね」


何よもう!

あれくらいの練習でヘタレてちゃ
もっと体力つけないとダメだなぁ

「...暇だな」

(ねぇねぇ、生徒会長室ってどこだっけ?)
(確か西棟の最上階だと思うよ)

生徒会長室かぁ、いいねぇ。




ガタンッ

(菅井さん、今何か物音しませんでした?)

「うっ、ううん!してないよ?」

(そうですか、じゃあまた何かあったら言ってくださいね!下の部屋にいるんで!)

今私がいる場所

それは生徒会長室

委員長は私の彼女の友香

私、テニス部部長と生徒会長菅井友香は
付き合っています!

「...いいよ、出てきて」

そして今の私の状況はというと

友香が座っている机の隙間に隠れています

隠れなきゃ行けない理由は、
私達が付き合っている事を誰も知らないから

っていうかありえないでしょ?

体育会系の私と
大金持ちのご令嬢で真面目な委員長

出会う接点なんかないけど
出会っちゃったんだよ

「ぷはぁ、ありがとー友香」

「ねぇ、なんで来たの?
この部屋には来ないでって言ってるでしょ?」

「友香に会いたくなっちゃったんだもん」

友香の足元から抜け出し
今度はそのまま友香の膝の上に跨る

「部活は?」

「抜け出してきた。
休憩欲しいんだって!」

「あかねんが厳しすぎるんだよ?
もっと優しくしてあげて」

「...んー友香のお願いなら仕方ない。
ねぇ今日家行っていい?」

「今日はダメなの。
お父様とお出かけするの」

「じゃあ今度の土曜日は?」

「その日はお父様とお食事会があってダメ。
ごめんね?」

令嬢で会長の菅井友香はあんまり会えない

さらに内緒の関係だから学校で喋りかけないし近づけない

すごく難しいんだ

「...じゃあいつ会える?」

「...暫く、厳しいかもしれない。
今生徒会がすごく忙しくて.....」

「家...行けない?」

「.....うん...ごめん」

「...なら、今のうちだね」

「...えっ....ッン」

「...今なら、時間はあでしょ?」

「ダメだよ...ここ会長室....ンッ」

「誰も来ないって」

「...この仕事終わってからでいい?」

「やだ」

「お願い」

「やだ」

「すぐ終わらせるから」

「...わかった。すぐだよすぐ!」

「わかってるよ」

仕方なくさっきの場所に戻り
見つからないようにじっとする

やっぱり暇だ

「早くしてよー」
「もうちょっとだから」


「終わった?」
「まだだよ〜」

「.....終わった?」
「まだだって〜」

これ以上言ったら怒られそう

けど暇

友香はさっきからずっとパソコンカチカチしたり何か書いたりしてるし

下向いてるから目合わないかなぁ


頑張って覗いて見たり変顔してみたりしてたらやっと気づいて少し笑ってくれた

....可愛い。

いつも思ってる事だけどさ、
友香って超絶可愛いよね?

ふとした表情とか仕草とか笑顔とか
ちょっと天然なとことか

超可愛くない?!

愛おしいなぁ

好きだなぁ

もっと一緒に、いれたらいいのに。



「よし終わったぁ....ってあれ?」

私の膝の上で眠るあかねん

ちょっと放ったらかしにし過ぎたかな?

さっきまで駄々こねてた我慢出来ない思春期男子みたいだったのに

今はスヤスヤ眠ってて子供みたい

可愛いなぁ

もっと一緒にいれたらいいのになぁ。

この部屋は、たまには入れてあげようかな


寝顔をみてるだけなのにすごく愛おしい

今の私はきっと、会長の菅井友香じゃなく
令嬢の菅井友香でもない

1人の女の子でありたいな。


可愛い寝顔にそっとキスを落とし
耳元で呟いた





「これから先も私はあかねんの物だよ。
もっと一緒に居たいから、離さないでね。
大好き、あかねん」










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