長いお話

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「べりー!べりー!」

何度叫んでも届かない声

どうすればいいんだろう


ポツポツ….ザーッ


気付いたら、雨も降り出してきた

気温が高い中、雨が降り湿気が増え
さらに熱気を帯びる


あっついしジメジメする


けどべりはこの暑いなか、どこかで迷子になっているかもしれない

そう思えばいてもたってもいられなくて
自然と足が動いていた

「べりー!……べり?」

おおきな木のふもとに裸足の足がみえた

あの白い足….べりだ

「べり!大丈夫⁈」

駆け寄って私の着ていたパーカーをかけ
腕に触れるとびっくりするほど熱かった

とりあえず近くに小さな小屋があったから
そこに入ろう

山奥の小屋の割に広くて綺麗にされてて
ソファがあった

けど雨のせいでか電気はつかなかった

とりあえずソファにベリカをねかせ
近くにあった毛布で彼女を包む

それでも尚彼女はガタガタ震えている

おでこにふと触れてみると
身体以上の熱さを持っていた

タオルを水で濡らしてベリのおでこにおく
作業を繰り返しているけど効果無さそう

「……マナカ?」

30分くらいたった頃だろうか

やっとベリが目を覚ました

けどやっぱり顔は火照って赤いし
息遣いも荒い

なのに無理して

「…べり」

「マナカごめん….迷子になっちゃった。
ほんと…ポンコツだよね」

ぎこちなく笑う彼女

それだけで、胸がいっぱいになった


「ベリ、なんでトイレ行かなかったの?」

「……マナカとリサちゃん、ものすごく仲良さそうにしてたからそこに行ったらまずいかなって思っちゃったの」

もしかしてあのキス、見られたのかな?

「…仲良さそうにって?」

「………キス、してたから」

「…見てたの?」

「…見えたの。リサちゃんの事、好きなんでしょ?よかったね、元に戻れて。
また、リサちゃんと付き合えて」

早く訂正したい

違うんだって言いたい

「違う、違うんだよベリ!」

「…何が違うの?」

「私は…理佐の事なんとも思ってないよ。
告白された、けど断った。
私…もう理佐は好きじゃないって
バスケのパートナーとしては大好きだけど
それ以上の感情はないって」

「けどマナカは….拒まなかったよ?」

「….」

「拒まないって事は、ほんとは理佐ちゃんが….理佐ちゃんのことが好きなんじゃないの?」



パシッ



気付いたら、ベリの頬っぺたを叩いていた

だんだん赤くなるベリの頬っぺと
一緒に溢れ出る涙

違う

違う違う違う

私はこんなことしたかったんじゃない

なのになんで?

自分の行動が理解できない

私は一体、なにがしたかったの?





「….マナカなんて……大嫌いっ」
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