▼小説
□知らない方が良かった事(短編)
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__ローザ視点
ヴォルフとエラが付き合ってる事はもうずっと前から知っていた。
エラとは何でも話すし、ヴォルフとも仲は良い。
ノアだってラファだって、シエラ姐さんも
皆あの二人の事仲良しのカップルって言ってた。
それなのに。
私には知らない世界があった。
______
夜中、また悪夢にうなされて起きた。
冷たい水でも飲もうとキッチンへ向かう途中
奥の部屋のドアから光が零れているのに気付いた。
エラとヴォルフの部屋だ。
あの二人はいつも早く寝るはずなのに
こんな時間に何してるんだろう。
好奇心でこっそり部屋に近づくと
二人の声が聞こえてくる。
「どうしよう…うぅッ」
「…俺がついてる。…大丈夫。」
エラ…泣いてる?
大事な親友の泣き声を聴いて
居ても立ってもいられず、部屋を覗くと
真っ赤。
泣くエラをヴォルフは抱きしめて宥めるが
こちらを向いてるエラの顔は血に染まっている。
どうして?
あんな血の付き方、返り血でもない限りつかない。
エラは人なんて殺すわけないのに。
その血まみれのエラを抱くヴォルフにも
血がべっとりついているが、全く気にしていなく
ただ頭を撫で続ける。
「またやっちゃった…。」
きっと私は
知ってはいけない事を知ってしまった。
END
(夢遊病で人を殺しちゃう話。)