★妄想小箱 - 読切 -

□背中合わせのあなたへ
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《あとがき》

高校生の頃、世界史の先生が教えてくれた逸話を思い出したので書いてみました。

「人はなぜ生涯をかけて一人の人を見つけるのか」

「世の中には男同士の人もいれば、女同士で結ばれる人もいる。男性も女性も両方愛せる人もいるが、それは決しておかしなことではない。人は生まれてくる前は背中合わせだったと思えば、不思議でもなんでもない」

その言葉だけが、ただただ記憶に残っています。(授業はまったく覚えていません。)

ただ、神様のいたずらで生まれてくる時代が少し違ってくることはあるかもしれないし、不運にも事故に巻き込まれたり病気になったりして、先にこの地上からいなくなってしまうかもしれない。その場合は、結婚せずに独り身で過ごす人もいるだろう。
自分の悲しさや寂しさをいくら誤魔化そうとしても、他の人ではうまらない。
そうして自分を傷つけてはいけない。
見つかるまで探さなければならない人もいれば、幸運にもすぐ身近にいる人もいるだろう。
だから、大切だと思える人と出会えたなら決して手を離してはいけない。自分の心に偽ってもいけない。自分の命を粗末にしてもいけない。
背中合わせでいられる人は、たった一人しかいないのだから。


2017/10/29 Sunday
皐月うしこ
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