★愛欲の施設 - First Wedge -

□第一夜 あらわれた姫巫女
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腰をつかむ涼の手と、股の間に埋まる涼の髪しか視界に入っていないはずなのに、見えない場所に与えられる刺激が想像できる錯覚がおそろしい。しびれるような感覚と鼻から抜けるような奇声が、抑えようとしても身体の中心から熱く沸きあがって制御がきかない。


「イヤっヤッ…っ…涼ィアッ───」


声を抑えればいいのか、涼をどければいいのか、迷う優羽の両手に反してその両足は貝のようにきつく閉じようともがいていく。それでも変わらない強烈な刺激にメスの匂いが充満していくのがわかった。


「優羽。」


股の間に埋めていた顔をあげて、上から押さえつけるように体制をあげた涼と目があった。
吸い込まれそうなほどきれいな瞳。
高鳴る鼓動が、必要以上に激しく動いて全身が震えてしまう。


「いっきに食べられたいんだったな?」

「───ッ!?」


聞き返すよりも先に訪れた味わったことのない激痛。
反射的に飛び跳ねた体は床に押さえつけられ、優羽は声にならない悲鳴をあげる。


「イヤァァ痛ッ…イヤァ…やだ…涼ッあっ…アァァッ」


歪んだ涼の口角に背筋が泡立ったと思った瞬間、グイッと曲げて押さえ込まれた足の間に深く男が突き刺さっていた。
望みどおりに、たった一度の激痛が優羽の神経を殺していく。
大きく開かれた目に涙を浮かべ、息の仕方を忘れた哀れな乙女。
容赦なくいっきに体重をかけられ、逃げるまもなく、その鋭利で美しい瞳に見下ろされながら優羽は少女を奪われた。


「アッ…〜〜あ…っ」


生理的な涙がこぼれ落ちる。
怖いだとか、イヤだとか、負の感情さえ吐き出す余裕もなかった。
隙間なく埋め込まれたモノが全身の呼吸を奪っていく。


「苦しッ…りょッ〜〜う…っ」


あれだけいっきに貫いたくせに、微動だにしない涼の意図がわからない。


「アッあアァ…っ…や」


痛みに顔をしかめる優羽にとって、ただ静かに見下ろしてくる涼の存在はありがた迷惑な話しだった。


「痛いか?」


見てわかるだろうと怒りたくても声が出てくれない。
当たり前だと叫びたくても、うなずくことさえままならない。
出来ることなら抜いてほしい。
苦しくて、身体中が張り裂けそうだった。


「我慢しろ。」

「ッ?!」


聞いておいてそれはないんじゃないかと優羽は顔をゆがめた。
質問の意味があったのかと思うぼやけた視界の先で、どこか嬉しそうな涼が見える。


「そんな目で見るな。」

「なッ…アッ?!?」

「俺に、すがりつけ。」


必死に何かをつかもうとしていた両手を涼に持っていかれる。
導かれた先は、意外にも涼の首だった。
すがりつけ。
その言葉に迷っている暇はない。
直後に与えられた振動に、言われた通りにせざるを得なかった。


「イヤァ…動かない…っで…りょぅ」


あれだけ微動だにしなかったくせに、無遠慮に始まった律動に意識が飛ぶ。


「好きなだけ甘えろ。」


そんなこと言われたって、どうすればいいかわからない。


「ヤッ…とめっ…痛ッ抜い…て…くださ…ッヒィ?!」


痛い。
死んでしまいそうなほど恥ずかしい。
泣きたいほど苦しくて、本当にどうすればいいのかわからない。
助けてほしい。神様のくせに容赦のない痛みと痺れを与えてくる男だけが優羽のすべてを支配していた。


「大人しく食われろ。」

「食ッ…アッァ…」


食事の意味がわからない。
これが想像していた肉食獣の食事風景と違うことくらいはわかっている。
わかっていても、その牙と爪で八つ裂きにしてくれるほうがまだいい。そうすればきっと、こんなにも羞恥と恐怖を知らなくて済んだだろう。


「怖いッ涼っ〜〜涼ッ」


無意識に彼の名前ばかりを叫んでいた。
揺れる視界に意識さえままならない。
痛みにこわばる身体が、悲鳴のように悶える声が、優羽の感覚の全てを奪っていた。
正常に機能する場所なんて、どこもない。
振り落とされそうなほど激しく突き上げてくる涼に、必死でしがみつくことしか出来ず、痛みにしかめた眉と噛みしめた唇が現実を拒み続けている。


「イヤッあ、アッヒャァ──アァッ?!」


自分の出した声に驚いて、咄嗟に口をふさいだが遅かった。


「あぁ…ッ…アッ…やめッ〜…あ」


変な声が鼻から抜ける。


「アッ…だめっン…ひ…ぁ…涼」

「優羽。」

「ヤッ…アァァッ…怖い…何かへ…ンッ…アッやだっヤッ」

「いいから、イケ。」

「ッ…イヤァアァァァッァァァ────」


痛みなんて比じゃないほど身体が暴れた。
おかしくなりそうなほどの快感と、初めて知った行為の刺激に世界までもが白く深く揺らいでいく。


「─────っ」


クスリと涼が笑った気がした。
ああ、このまま死ぬんだと、薄れゆく視界にうつる捕食者の姿が途切れ行く意識の中に消えていく。
そうして奥深くまで犯された下腹部から男根が脈打つのを感じながら、優羽は眠りに身をゆだねた。

───────To be continue.
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