★愛欲の施設 - Love Shelter -
□第6話 愛の行方
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瞬間、優羽は晶の背中に爪を立てて抱き締める。
「イク…っ…ヤッ!?どうし〜っ〜」
もうすぐそこにまで迫っていた感覚が一気にやんで、優羽は涙をたたえた目で晶を見つめた。
「お願ッ…あき…ちょ…だい」
欲しいほしいと、ねだるように優羽は何度も晶に口づけをする。
その腰はゆれ、絶頂を求めるように晶しか見えていなかった。
「知らない間にずいぶん可愛くなったね。」
「ャっ…お…ネガ…ぃ…っ」
「自分から腰まで動かして。ここ、誰に虐められた?」
男根を差し込んだまま、下肢の秘芽を指の腹でいじる晶がたずねてくる。
突如止まった律動を再開させてほしくて、腰をねだる優羽の顔を嬉しそうにのぞきこんでいた。
「ッ…あきッ…おねが…アッ!?」
「ちゃんと答えられたら、優羽のお願いも聞いてあげるよ?」
こまかく体を震わせながら奇声の声をあげる優羽の耳に晶の楽しそうな声が問う。
「あの女以外にいただろ?誰?」
「ぅぁ!?…っはぁ…ぁ…りっりょう…じ。むろふ…し…りょ…じ。」
「他には?」
ぎゅうぎゅうと、中を締め上げるように求める優羽を晶は見上げたまま動かない。
「ほか…はッ──」
「優羽、ダメだよ。」
「───ん…アッ!?」
グッと晶の両手で押さえつけられた腰が動かなくなった。
動かしたくても動かせない。
「欲しい?」
「ンッ…っ…ホシ…ぃ」
素直にうなずく優羽の腰をつかんだまま、晶の瞳が優羽を見つめる。
だらしなく口を開けて、潤んだ目で誘う淫乱な果実がそこにうつっていた。
美味しそう。
けれど、ペロリと上唇を舐めて、キスを求めた優羽の行為にも晶は答えてくれない。
「ッ!?」
泣きそうに顔を歪ませた優羽に、晶が負けるわけがない。
グイッと少しだけ与えられた感覚に、優羽は思い出したように口を滑らせた。
「いたッ…へ…な…変な人!」
「変な人?」
優羽の言葉に晶が怪訝な顔を見せる。
詳しく教えてとささやかれて、抗える余力はどこにもなかった。
「輝っのくす…ッ…り改良した…て」
「それで?」
「わかんなッ怖い感じ…ヘビみた…ナッ!?」
ギュウッと、優羽は晶を抱き締めて弓なりにのけぞる。
「ヤッァァア…なん…ッで」
一瞬、鋭利さを見せた晶の目が優羽を奥まで突き刺していた。
答えている途中で、何がどう気にさわったのか、今まで微動だにしなかった快楽の波が押し寄せてくる。
「ヒッ…?…っあっヤァァァァ」
「ご褒美。」
苦しいほどに締め付けてくる優羽の額に唇を当てながら晶は、さらに腰を抱き寄せた。
そのあまりの激動に優羽は狂ったように叫び声をあげる。
「ちゃんと答えられた優羽のお願い聞いてあげるよ。」
そうして、ニコリと笑う晶の腕の中で何度も何度も鳴き叫んでいた優羽がようやく落ち着いてきたころ、解毒を作ることに成功したらしい輝が走ってやってきた。
「優羽、飲めるか?」
トロンとした眼で優羽は輝にうなずく。
輝から口移しで与えられた液体が喉を通りすぎていくのを感じながら、優羽は最後の絶頂を迎えた。
「ひとまずか?」
「そうみたいだね。」
卑猥な音をたてて、気絶した優羽から腰をひいた晶が輝に答える。
「今回は少し危なかった。」
「親父にあとで殺されるな。」
ほっと安堵の息を吐くと同時に、二人は顔を見合わせて苦笑の笑みをこぼした。
そして再び優羽を見つめる。
「誰も選べない道を選んだよ。」
「俺らの残酷な愛し方を受け入れるなんて、優羽はバカだな。」
「そこが可愛いんだよ。」
「んなことわかってるよ。」
だからこそ今回の件で自分が許せない。
あのとき、優羽の告白に自制心を制御する方をとった時間が悔やまれた。
「輝、携帯が光ってる。」
「ん?」
「いいから、早く出てあげて。」
「戒。あの女なんだって?あっ?優羽ならもう大丈夫だよ。あぁ、うん。陸にも教えてやれ。それで?」
長男らしい晶のすすめで電話をとった輝の声に、受話器の向こう側から現状に安堵する息が聞こえてくる。
けれど、電話の主であるらしい戒の返答に、輝は顔色を変えて優羽をみた。
「晶。」
その声があまりに低くて空気が凍る。
優羽に自分の上着を着せていた晶は、輝の視線に答えるように顔をあげた。
「うん、優羽から聞いた。」
輝の手の中に収まる携帯が、ミシッといやな音をたてる。
その冷酷な眼差しの先に何が見えるのか。
空虚な世界を見つめる輝の表情から、どうやら電話越しの弟たちも同じように怒りの炎をともした瞳をたたえているに違いない。
「─────…ふっ」
不敵にこぼされた笑みは誰のものだったか。
夕日がかなたに沈むころ、遠くで犬の鳴き声がした。
─────To be continue.