★愛欲の施設 - Love Shelter -
□第1話 歓迎の悶(モダ)え
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まるで自分じゃないみたいに声が自然に口をついて出てくる。
感じたくないのに体が勝手に反応して、悦びの息をあげ、イヤなのにその先を求めてしまう自分に気づく。
恥ずかしくて、怖くて、苦しいのに、気持ちいいと思ってしまう。
その先を知りたい。
でも知ってしまえば、もう戻れないと本能がささやく。
理性なんて捨ててしまえと囁く、新しい父に逆らうことなど出来ずに、押し寄せる快楽の波は、優羽の体をより一層の高みへと導いていく。
───ヤメテ
───イヤダ
───ヤメナイ…デ?
「アぁあッ!?──ゃダっ…」
「怖がらなくていい。いきなさい。」
「……ッ…アッ──ぁっだっダメだめダメっ〜っイヤァァァァッァ」
大きく体をしならせながら痙攣する。
ピンとはる体とは裏腹に、中は男を迎え入れようとキツくうごめく。
優羽は、拘束された両手の中で幸彦の頭を強く抱きかかえるようにして、与えられた絶頂を味わっていた。
萎縮した体が幸彦と密着する。
キツく締まれば、それだけ中にいるモノの正体が手にとるようにわかり、大きく伸縮を繰り返していることが感じられた。
「ッ!!?」
異変は腕の中で不適に見上げてくる幸彦と目があったことで悟る。
逃げることは出来ない。
「イヤ!待って、幸彦さ…ッ!」
がっしりと押さえられた肩と、閉じることの許されない足の間で、幸彦の腰が最後の鐘を打ち付けてくる。
「やっ…中はイ…っヤ…あっ…アッ…おねが…イッ!?アァァアーーーっーー」
何かが子宮の奥にかかるのがわかる。
ねっとりとした液体が誰にも犯されたことのない領域を汚していく。
満たしていく。
優羽は、そうして、さらなる異物の侵入を拒むことも出来ず、男の全てを注ぎ込まれいった。
ドクドクと全身で感じ、呼吸していた。
他に何もない。
あるのは、絶頂を知った淫行だけ。
「はぁ。ぅっ…ぁっ!?──あぁ…ッ…ゃ…だァァッ…」
「誰が終わりといった?まだ続く。
素直にならない子にはシツケが必要だと言ったばかりだろう?」
「も…ぅ無理で…すッ!?」
「それは優羽が決めることじゃない。」
「──ヒァっ!?」
密着から逃げ出す暇もなく、再び律動を始めた幸彦のせいで、視界が上下にゆれ始める。
抑えの利かなくなった理性が、快楽を勝手に受け入れようとする。
壊れたおもちゃのように鳴き声を上げる優羽を満足そうに見つめながら、幸彦は声をおとした。
「しっかり覚えておきなさい。我が家では、わたしがルールだ。」
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意識を手放した娘のほほを撫でる。
白濁した液に溶け込むように赤い液体が優羽の脚を伝ってシーツに絵を描いていたのは、もういつだったか。
渇いた鮮血の線の上には、幾重(イクエ)にも違った絵が重なっている。何度も何度も、布を愛液で塗らした余韻はまだ新しいが、それでも本当はまだ足りない。
何度も絶頂を繰り返し、その度に男を求めるのに、結局、優羽は最後まで「幸彦が欲しい」と首を縦にふらなかった。
「まったく、可愛いね。」
どこか不満足そうな顔をして、幸彦は優羽の髪を優しくすくと、規則正しい呼吸に落ち着いた優羽の寝顔にそっと口づけを落とした。
「ずっと待っていた。」
けれど、優羽はその事を知らない。今日の出来事は心の傷となって優羽の心に深く残るかも知れなかった。
「愛している。」
その時、まるで頃合いを見計らったかのように携帯がなる。
いつからそこに合ったのか、小刻みに振動し始めた液晶は持ち主を急かすように大きく存在を主張し始めた。
「幸彦さま?」
電話口の相手は、どこか驚いたように幸彦の名前を確認すると、取り落としそうになった受話器を持ち直したらしく、ゴホンとわざとらしい咳をする。
「起きていらっしゃいましたか。」
「ああ。」
空が霞(カスミ)始める時刻まで、まだもう少しある。
初春の早朝は窓の外も暗く、室内では液晶の光が幸彦の顔を照らしていた。
「お前は、いつもタイミングがいいね。」
隠しカメラでも仕掛けたのかな?と幸彦が笑えば、電話のむこうからは、不思議そうな声で「なんのことですか?」と疑問が返ってくる。
「いや、こっちのことだ。それで?用件は?」
深夜をとうに過ぎ去った時刻にかかってきた電話だ。
いい意味ではないだろうと思う。
「社長が来てくれなければ話しになりません。」
「彼女はお前をご所望だっただろう?」
「それが……。」
言いにくそうに言葉をつまらせた彼に盛大なため息を吐くと、わかったと幸彦は了承の言葉をのべた。
───────To be continue.