長い夢
□神と人
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ここか……
紺野はスーツを着込み学校を見上げた。政府の命とはいえ随分と田舎に来たものだ、周りには田圃しかない小さな山間の村。
ここに本当に審神者がいるのだろうか
苗字 名前
書類には写真と個人情報が並んでいる、12年前に神隠しにあって帰ってきた途端に親が蒸発、それからは神社の神主をしている祖父母が面倒をみるか……
資料から顔を上げだ時チャイムが鳴り、生徒が出てきた。
「あの、すみません。苗字 名前という人を探しているのですが」
通りすがりの男子生徒にはなしかける
「あぁ、名前?
茶色と黒が混じった感じの髪で、存在感薄い奴がそうだよ」
「存在感が薄い……根暗なんですか?」
「いや、あいつ明るいし良い奴なんだけどさ、ふとした瞬間フッと消えるんだよなぁ、影がうすいっていうか……なんかこっちの人じゃないみたいなんだよなぁ
まぁ、あいつの家、村で一番の神社の息子だからそう見えんのかもね」
なるほど……とつぶやいた時、男子生徒が手を振った
「おーい!名前お客さん」
「はぁ?そんな予定なかったはずだけど……で、なんの用?ばっちゃとじっちゃの客?」
「はい、詳しくは場所を変えて。お線香をあげに行っても良いですか?」
「わかった、じゃあ家に行くか」
本当に田舎のセキュリティの甘さは驚いてしまう。まぁ、楽に進んでちょうどいい
「ほらこの上」
「えっ、この上ですか?」
しばらく歩いた末にたどり着いた場所は鳥居の下だった
そして、山に張り付くようにずらりと並んだ急な階段、名前はもうすでに階段を登っている
少しでも、楽に進むなんて思った自分を殴ってやりたかった