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□HappyBirthday
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「はぁァァっッ!?」
ハクレンに説明を受けていた三司教は、三人同時に思い切りひっくり返った声を発した。
その、あまりにも自分に酷似した様子に、必死で笑いをこらえたハクレンは、言葉を続ける。
「全く…アイツときたら、自分のことに無頓着なのも程がありますね。そういう訳なので……、何かお祝いをしたいと思うのですが、司教方、許可をいただけますか?」
ハクレンの言葉にすぐに反応したのはラブラドールだった。
「もちろんだよ!あ、場所なら僕の庭園を使って?」
「え?でもご迷惑では……」
「そんなわけないよ!!僕もテイト君にお祝いしたいし…僕にはこれ位しか出来ないからね……。ね?カストル」
話を降られたカストルは、嬉しそうに答える。
「えぇ、テイト君の誕生日なら、私達みんなのお祝いごとですからね。」
「…ッ ありがとうございます司教方!!それでは早速準備してきます。」
「あ、僕も手伝うよ」
ただ一人無言のフラウを残して、こうと決まると行動が早いハクレンとラブラドールは、あっと言う間に去って行った。
その場に残ったカストルは、自分の隣に立つ男をちらりと窺う。そして、盛大にため息をついた。
「何か言ってあげなくて良かったんですか?」
「……何がだよ」
仏頂面で答えるフラウに、カストルはさらりと返す。
「テイト君の誕生日についてですよ。ハクレン君、貴方を気にしていましたよ?」
それには何も答えず、フラウはカストルの視線から避けるように顔を背けた。
「全く……なんて顔してるんですか、貴方は…」
そう言われたフラウの表情は、眉根が寄せられ、唇をひきむすんだ、一見すると怒っているような、しかし、泣き出しそうな子供のようでもあった。
それを隠すように、フラウは歩き出す。その背中に、どこに行くんですかと声をかければ、部屋に戻ると返ってくる。
少しずつ遠くなっていく背中に、カストルはもう一度声をかける。
「しっかりしてくださいよ!貴方がそれではテイト君が悲しみます!」
それに応えるように、後ろ手に手を振るフラウに、カストルはもう一度長いため息をはいた。