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□HappyBirthday
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「………あ」
いつものように、朝起きてすぐにカレンダーに向かい、前日の日付に×をつけようとしたテイトが、何かに気付いたような声を発した。
偶然それを耳にした同室のハクレンは、当然それが気になってしまう。それもそのはずで、テイトはあまり日付には関心がない。他人の記念日にはうるさいくせに、自分のものには関心がないのがテイトだ。現に、毎日の×をつけることも、ハクレンがテイトに提案したものだ。
とにかく、気になることはとことん気になる性格のハクレンは、テイトに尋ねてみる。
「なんだテイト?今日がどうかしたのか?」
尋ねられたテイトは、一瞬だけ考えるような仕草をみせ、何か躊躇いがちに答える。
「……うん、イヤ、大したことじゃないんだけど……」
「だからどうした?いいから言ってみろ」
「……うん。たぶん……12月1日って…オレの誕生日…?」
「はぁッ!!?」
どこか自信なさげに答えるテイトに、思い切りひっくり返った声を発してしまったハクレンだが、一瞬で我にかえる。
「誕生日って…!!お前どうしてそんな大事なこと言わないんだよ!!」
「し、仕方ないだろ!本当に忘れてたんだから!!」
あぁもうコイツは……本当に自分のことには無頓着なのだから…
なかば呆れてしまったが、こうしてはいられない。
いつもより急いた様子で立ち上がり、しかし何故か優雅さを振り撒きながらドアへと向かうハクレンに、テイトも焦って声をかける。
「え……!?ハクレンどこに行くんだ!?」
クルリと振り返ったハクレンは、やはり優雅に、「野暮用だ。お前はゆっくりしていろ。」と、素晴らしい笑顔で言い残して、部屋から出て行ってしまった。
一人残ったテイトは、何かハクレン怒ってないか?そんなに怒るようなことを自分はしただろうか?……などと、的外れなことを考えていた。しかしそれも退屈になったのか、頭に浮かんだ考えをポツリと漏らす。
「……フラウのとこにでも行こうかな」
さて、部屋から出たハクレンはと言うと……