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□夢はせめて、優しくあれ。
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 夢を見た。
 久々に見るそれは、不思議で悲しい夢だった。




 視界がどこを捉らえても、全て同じ白ばかり。
 天がある訳でも地がある訳でも無く、当然の事ながら壁も無い。際限無く続く、白の世界。
 そこに自分は、まるで浮かんでいるように存在していた。

(…!!)

 ふと振り向いたその先に少し離れて、大切な、今は隣には居ない、彼の姿。

(    !!)

 声を張り上げて叫んでいる筈なのに、名前は呼べず。
 愛しい人は、ただ悲しげな瞳で、真っ直ぐに前を見つめていた。

 その視線の先にいるのは―――二人。

 離れてしまう前の、優しく穏やかな日々を過ごしていた、自分達。
 離れてしまうなんて、絶対に有り得ないと思っていたあの頃の二人。

 幸せだった、あの時。

 その光景をずっと見つめていた彼は、先程にも増して悲しそうな、今にも消えてしまいそうな表情で。
 けれど、ここに居る自分は、彼の名すら呼べなくて。

「    !!」

 もう一度呼んだその時、彼はふと顔を上げた。
 何かに戸惑うように、辺りを見回す。





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