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□もう届かないと知っていても、僕は。
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初めて"貴方"に会ったのは、貴方がまだ生まれたての赤ちゃんの時。
貴方のくれた笑顔が、俺の荒み切っていた心を癒し、変えてくれた。
国に戻ってからは、ひたすら待つばかりで。
あの時笑っていた貴方は、どんなひとになっているだろう?
自分があの時願ったようなひとになってくれているだろうか…否、なっていて欲しい、と、そう思っていた。
そして――ようやく、その日が来た。
再会した貴方は戸惑いつつ、その度胸と優しさ、そして少しの勢いで、全てを受け入れた。
正直言って、嬉しかった。
貴方は、俺が願った通り"太陽"の様になっていてくれたのだから。
けれど、知らない場所で、訳の分からない物や決まり事ばかりに囲われるのは、やはり不安だ。
地球の事を知っている、という所で、貴方はいつも俺を頼ってくれていて。
最初の頃は俺も、"名付け親"として、貴方を見守っていた。
だがその内…俺は、貴方に抱いてはならない感情を抱き始めた。
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