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□約束
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『また、一緒に見に行こうな!!』
そう言った自分の声が何度も頭の中で繰り返される。
「約束…したのにな…」
『勿論、貴方となら何処へでも』
そう答えてくれた時の彼は、確かにおれだけに向けてくれた笑顔だったのに。
「…コンラッドの、嘘ツキ…」
目覚めの瞬間、彼が来ない事に気付き、同時に彼がおれの傍から離れた事を悟った。
ちょうど1年前に交わした"約束"。
「…ひっ…く…っ」
いつも傍にいる、と言ったのに。
今はもう、その温もりすら無い。
「…嘘、ツキっ…」
彼はもう、おれの傍にはいない。
その事が哀しくて悔しくて寂しくて―――…
「…コン、ラッ、ドぉっ…」
今はもう傍にはいない愛しい人の名前を、おれは何度も何度も呼んだ。
風に舞う花びらが、今のおれと彼の心を表しているかの様に、切なく散って行った。
FIN.