空は今日も。
□小さな赤ん坊。
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とにかく、さっきの隣人さんがとてもご親切に教えてくれた、
『今日から新しい学校』
という言葉を私はちゃんと覚えていた。
カレンダーには、今日の日付にきっちりと丸が付いている。
今日は9月10日。自分は転校生なのだろう。
急いで着替えるが、テレビをつけたのが7時だったのだ。
学校までの地図の距離をみてみても、恐らく、いや、絶対に間に合わないだろう。
「ヤバいって。噛み殺されるッ!」
意外と案外この世界になじんでいる自分がいた。
猛ダッシュすること20分。正門はご丁寧にしまっていたので裏門からこっそりとはいった。
噛み殺されやしないかとビクビクしていたのだが、当の本人は見当たらず、大丈夫そうで、ほっと胸をなでおろした。
「せきにつけー。今日は転校生を紹介するぞー。」
「山田遥奈です。よろしくお願いします。」
わっと歓喜に溢れる教室。
私が転校してきたのは1-A。
もろ主人公もとい、そのお仲間たちが勢ぞろいしているクラスだった。
実は、学校に来る前、そして走りながら、考えていた。
この世界の、沢田綱吉とその周りでおこりうることを転々とはしているが、だいたいは、ほぼ最終巻までしっかり知っているのだ。
特に最後の方など何度も読み返したものだからバッチリおぼえている。
もちろん、こんな世界に来たのだから、大いに楽しみたい所なのだが。
あんな爆発やこんな事件には決して巻き込まれたくはないので、傍観者としてこの世界にいることにした。
「マンガだったら色々妄想できるけど、現実に関わるとなるとなぁ。」
一人、溜息を零す。