空は今日も。
□その日。
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目を覚ますと、知らない天井がそこにあった。
意識が覚醒したばかりのためか、はじめはぼやけていた視界も時間が過ぎていくとともに次第にはっきりとしていく。
はっきりと覚めた目で、ゆっくりと部屋を見渡す。
そこには自分の知るはずの部屋ではなく、全くもって見知らぬ部屋であった。
自分の記憶を片っ端からひっくり返す。
自分の家ではないとすると、もしかしたら友人の家ではないかと思い、
「あのー……」
と声を出してみるも、返事はない。
そもそも、昨日自分は確かに自分の部屋のベッドで眠りについた。
しかもそれが、自分の中での最も新しい記憶である。
こうなったらと。
思い切って部屋を出てみることにした。
もしかしたら誰かいるかもしれない、などという期待をしながら、
せめて現在の自分の居場所を確認しなければと急ぐ気持ちを抑えて、
ゆっくりとドアノブを回した。
どうやらここは二階のようで、
ドアを開けると、目の前に階段ともう一つ部屋があった。
部屋の方のドアを開けると、特に思っていたよりも何もなく、いくつか荷物が転がっているくらいだった。
部屋から引き返して、階段を降りてみると、必要最低限の家具が取り揃えてあった。
誰かいないのかと家中を回ってみたものの、その期待はすぐに崩れ去っていった。
その一階の。
キッチンのテーブルの上に、通帳らしきものと判子、それからこの家の鍵であろうものが置かれていた。
通帳をとりあえず開けてみると、
約十万がそこにはあるようだった。
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