何でもない日

□第6話
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僕達は、幼い頃から一緒だ
兄妹で幼稚園から、同じところに通っている

唯葉たちとは
僕が年少の頃からの友達で、後から入園した
一つ下の文音とも…僕の知らないうちに
唯葉たちは友達になっていた
それから、僕ら5人は仲が良い

そのメンバーが今
僕の事で真剣に悩んでいる。本当に頭が上がらない
情けなくも思う

「ぶんちゃんが書きもの中心じゃない生活なんて、変だ。俺は嫌だよ」
「本当に経済学をやりたいの?それで本当に良いの?」
冬真と冬夜が言う

「兄さんは、私のせいにして言い訳してる
私の為に我慢するなんて間違っているし
私は優先されるほど弱くない!大丈夫。
だから…兄さんには、兄さんで居て欲しい」
文音は、少し苦しそうに言った

経緯を話したら、みんな思い思いの事を言う
責めてくれて構わない、でも…!

文志は、歯を食いしばるような表情をする
唯葉は、黙って聞いていた
文志が切り出す

「みんな、ごめん。文音、ごめんな」

文音たちは黙ったままだ
文志が続ける

「僕は経済学も好きだし、色んな事に
挑戦してみたい
それに、機会は減るだろうけど
書けなくなるわけじゃない。読めなくなる
わけじゃない」

全員が暗い顔をする

「何かトラウマがあるの?」
文音が聞いた

「僕の実力じゃ無理なんだ。足りないんだ
書く事への、読む事への、愛情だけじゃダメなんだ
書く事は続けるよ。出版社に投稿する事も
続ける
一筋でやった方が良いのは分かるよ。
けど、就職もしたい」

「それは家のため?私のため?父さんと母さんのため?」
「全部を、否定もしないし、肯定もしない」

「ぶんちゃんの…気持ちは?愛情は?
どうなるの?」
冬真が問う
「気持ち…か…」
考え込む文志

冬夜が素直に口にする
「これじゃ、親御さんも…ぶんちゃんも…
フミも可哀想だよ!
ぶんちゃんは一番にしたい事を二の次にして
フミは気を遣われて…親御さんは
息子に勝手に諦められて…
こんなの、誰も幸せにならない!」

沈黙する一同

「愛情と気持ちは、大切にした方が良いわ」
唯葉が、たった一言だけ言った

「うん、ごめん。ありがとう」

結局、この話し合いで最終的な結論は
出なかったが、文志は
両親に自分のありのままを話すと決めた

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