何でもない日

□第5話
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近頃は、思い切って書けなくなっている事
けれども
文学が嫌いになったわけではない事
むしろ、ますます好きになっているが
そこには迷いや、もどかしさが確かにある事
好きだからこそ、中途半端にしたくない事

文志は、ここまで唯葉に話した

彼女は、ただ、頷いていた
「文学に関する事は、続けたいのね?」
彼女は、唐突に問いかけた

「もちろん」
少年は、迷いなく答えた

「では、なぜ…あなたは苦しんでいるの?」
また問いかけられる

「文学の世界は、そんなに甘くない」
それに…。と文志は口ごもった

「それに?」
「家族の事」
「家族?」
「僕は長男だし、文音の兄だ。
文音の事を優先してあげたい
文音の思いは純粋だ」
「歪んだ優しさね」
「うん、分かっているよ。
両親も、子供の一人ぐらい、企業に就職して
欲しいだろうし」

「そう……」
彼女は、それだけ言って黙った

結論は
両親に思いを話す前に、文音 冬真 冬夜を
交えて
みんなの意見を、話し合う事になった

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