何でもない日

□第4話
1ページ/1ページ

 
物語を書いて欲しい。と、頼まれた2日後

「はい、お待たせ」
「ありがとう」
唯葉が文志から、小説を受け取る
「良いの書けてると良いけど」
文志が、いつもの通りに言う
「あなたの書いたものよ。間違いないわ」
「ありがとう。じゃあ僕、進路相談があるからこれで」

〜進路指導室〜

「大学は、もう決定か?」
教師が尋ねる
「はい、経済学をもっと学ぼうと思っています」
「そうか、成績からしてもここの大学は
充分に狙えるだろう」
「ありがとうございます」
文志が頭を下げる

文志が廊下へ出ると、唯葉が立っていた
「あなた、それで良いの?」
「な…、何が?」
「進路よ」
(これは…お説教だな…)
内心で冷や汗をかく文志
「場所を変えたい」
「良いわ」

〜唯葉の自室〜

「どうするの?」
「だから、経済学を…」

文志が言いにくそうに言う

「文志、あなたのお話、面白かったわ。
でもね、物語の中に迷いを感じたの。
こんな事、今までなかったわ」
少し強い口調で言う、唯葉
「……」
沈黙する文志

「確かにあなたは頭が良いから
経済学部でもやっていけるわ。だけど、そんなの…」
言葉を詰まらせる唯葉

立ち上がる文志
「ごめん。良いんだ、これで。本が読めなく なるわけじゃない。じゃあ、帰るね」
「あなたはそうやって逃げる!!」
唯葉が声を荒げる
「唯葉、体に障るから…」
少し驚いたが、文志は冷静になだめる

「あなたは、自分のやりたいを事わかってる
なのに、逃げてるのよ!」
「唯葉、落ち着いてくれ。話すから」
今にも泣き出しそうな唯葉

この時、文志は
初めて自分の胸の内を話す事となった

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ