キヒヒ!!!!

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「あ、そういえば。補充されるまで近付くなって言われたのに…どうして此処に到着さしてくれたんですか?」
「近付くなと言ったのは、殺し屋共が君を傷付ける可能性の高かったあの状況に居る間だけだ」
「あぁなるなる」
「…それぐらい察しているのだろう。答えのわかきりった質問をするのは時に侮辱だ」
「もしくは答え合わせをしないと安心できない、頭の悪い臆病者か」
「ではそういうことにしておこう」

実験所。
最後に訪れたのは、私の両手を復元し、最後の調整を行った時だったろうか。

炎を取ったり、身体の調子を分析されながら、未来の自分がヤベー奴だったとか雑談とか交えて。

「残量が想像以上に少ないな…これ以上は充電してからだ」

ひと段落したところで。

「また面倒お掛けします」
「全くだ。放置してからこんなにも早く使い切るとは恐れ入る」
「えへー」
「……検査は終了だ。いつまでも横になっていないで、さっさと汚れを落としてこちらに来なさい」
「うっすー」

そして私は実験台から降りて、実験所を後にした。

シャワーを浴び、バスローブに着替えて戻るなり。
すぐに明日の予定を告げられた。
明日朝一、充電だ。

復讐者に見つからないことを祈ろうか。
うん、世界は広いから多分大丈夫だろう。



やってきたのは、なんとも辺鄙な森の中。
密造酒を作っているグループが居るので、それを食らう。

密造場までの道のりには、そいつらが営む違法ショットバー…ジュークジョイントがあるからそれも。

今は営業時間…日曜の朝だ。カタギが教会に行っている間に無法者がここに集まって密造酒を飲む。
こっそり集まって密造酒なんて飲んでる奴等が消えたところで世の損失にもならないし。

万一反撃されて殺され、塵になったとしても、ここは森の中だ。
騒ぎにもなるまい。

汚い笑いがこぼれる汚いロッジの、汚い扉を開ければ。

「こんにちは」

「あ?」
「なんだ?嬢ちゃん、迷子かぁ?ってんなわきゃねーかぁ!」

汚く肥えた貧しい黒人達と、それを搾取する白人マスターが、汚い密造酒を片手にこちらを見る。
酒臭い。

「誰の紹介だ?」
「マスターの紹介です」
「は?俺はお前みたいな身綺麗なナリした嬢ちゃんなんて知らねーよ」
「いえ、私の。」
「あ?」

首を傾げるこのバーのマスターに、私は笑顔で近付いた。




銃声、怒声、肉の裂ける音、悲鳴、命乞い。
それらはすぐに静寂となり、私はロッジを後にする。


次にここを訪れるのは、別の客か、警察の行方不明者捜索班か、密造酒捜査班か。
どちらにせよ、途方に暮れるほかあるまい。

そこに残るは、服と血だまりだけだ。


口に残る不味い血を吐き捨て、さらなる奥地に有る密造所へと向かう。
草や小枝を踏みながら、呑気に麦芽汁の面倒でも見てる奴らに思いを馳せる。

そいつらもまた、どうせ不衛生で不味いのだろうと溜息が沸いた。


不衛生な密造所を襲撃し、そこに居た数人を食らい尽くす。
さて戻るかと、血を隠す上着を着こみ、踵を返す。


ロッジまで戻ってきたところで。
新たに人の気配を感じた。

瞬時に伏せ、様子を伺う。
耳をすますまでも無く、ロッジから困惑の声が上がっている。


耳に残る声。
知っている声だ。
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