キヒヒ!!!!
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「それから離れた方がいいと思うよ、久几」
雲雀さんもディーノさんもロマーリオさんも。
どうも見えているものが違うようだ。
「ご忠告ありがとう雲雀さん
ねえみーちゃん」
「なんですかぁ?」
「みーちゃんは、私の視界に映ってる姿をしていないようだ」
「!」
ぱちくり。
と、魅々子は目を丸めた。
「ほええ?!なんでわかったんですかぁ?!」
びんご。
手を合わせて上体ごと首をかしげる仕草が、誤魔化すようにわざとらしかった。
それに比べて、
「どういうこと……?」
「疑問符うかべて眉間に皺寄せる雲雀さんかわいいんあ」
「むぅ!」
雲雀さんの反応が見える前に、頬を膨らませた魅々子が視界を遮るように横入りしてきた。
「でもでもぉ!魅々のほぅがぁ!かわいぃですよねぇ!?」
「そうだね十倍かわいいよ」
「ふふぅーん!」
はい邪魔ーーーとか言えないもんよ。
目を離したくないものがせっかくくっついてくるんだ。下手に突っぱねて逃げられたくない。
それに、下手なことができない理由はもう一つ。
もうよくわかる。
魅々子は強い。
私を欺けているならば幻術とかそういう外的なものではない。
なんというか、内部から狂わされている。
身体が動かなかったり、私の視界を欺いたり、雲雀さんの…人間の体内に気付かれず仕込み物をしたり動きを制御したり。
強い。私よりも。炎も能力も。
何故白蘭がみすみす奪わせたままにしていたのか理解できないほどに。
恐らくあの土色の炎の特性は、支配、いや服従か。
枝につかまれて身体が動かなくなった時、特性は脱力かとも思ったか、雲雀さんの動きを操った理由が付かない。
なんだ。
結局、私が優位に立つなんてできっこなかったということだ。
この二次元でどんなに有能で力があろうとも、三次元にはかなわない。
だから不快になる。怖くて汚くて近付きたくもなくて、追い出したくなる、視界に写したくなくなる。
この時代の私は魅々子を醜いと言った。
つまり、10年経とうと変わらなかったという訳だ。
魅々子を支配しているようでいて、結局、支配されているのは私の方だったというオチ。
ああ面白い。
ああ衝撃の事実。
ああ楽しい。
心に白い蓋をして布をかぶせて紙敷いて塗りつぶす。
難しいことではない。
ゆっくりとまばたきをする。
「ここは少し騒がしいね。場所を移そう」
手すりを乗り越えて飛べば、魅々子は易々とついてきた。
戦闘員じゃないと思っていたのになあ。