キヒヒ!!!!
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桔梗は真っ直ぐ正一の元へ向かう。
ヴァニタを踵落としした際、至近距離には正一が飛んでいた。
片手間に追跡用の種子を仕込むなど造作もなかった。
すぐに正一の姿を補足した桔梗は、花を振りかぶり――そのまま、余裕に攻撃の瞬間を見定め始めた。
その狭い路地裏での決着など白蘭は望まない。
これはあくまで勝負ではなくセレモニー。その死を際立たせるべく、ビルの小路地を抜けて、見晴らしのいい道路へ出る瞬間を見計らっていた。
「正一!何があった!?」
「綱吉君か!ヴァニタ君がやられた!」
「?!」
「現在僕を乗せた霧コモドオオトカゲがビルの間の縫って小路地を逃走中!
一緒に居る黎明ライチョウが僕の標的の炎の反応を隠してくれているが…、いつ追いつかれるかわからない!ターゲットの撃破急いでくれ!」
「結界には数撃与えた、あとは山本に任せてオレが今から向かう」
「な?!待ってくれ綱吉君、もう到着しているんだろう!?ターゲットは目の前で既に王手を取っているんだ!それは許可できない!…綱吉君!?」
正一はメンバーと連絡を取っていたために、桔梗の追跡に気付いていない。
やがて桔梗の望み通り、一瞬。
小川を飛び越えるが如く霧コモドオオトカゲと正一が道路に出た。
飛び移るようなスピードを逃すことなく、桔梗は一輪の花を放った。
次の路地に入り込む前に、雲桔梗は見事命中――
「あっ…!?」
――正一の腹部と霧コモドオオトカゲの頭部を真っ直ぐ貫いた。
ドシャリと墜落したコモドオオトカゲから投げ出された正一は、アスファルトに頭から叩きつけられ、ズザアッと転がった。
腹部を貫かれ頭を打ち付けられた正一は、とめどなく出血し、気を失っていた。
標的の炎はまだ揺らめいていたが、それもどんどん小さくなっていく。
「ぼばっ」
同時に、自陣の結界を割られた音とデイジーの声もまた、桔梗の耳に届いていた。
デイジーの標的の炎が消失したのとほぼ同時に、正一の炎もまた酸素を失った種火のように、弱々しく焼失した。
正一の指示を振り切って引き返してきたツナと獄寺が到着したときには既に、チェルベッロが正一のターゲットマーカーを確認している最中だった。
「獄寺君無事だったんだね!!」
「申し訳ありません10代目!!」
「あっ…戻ってきちゃったんだねツナ…いや、俺が不甲斐無いからか」
「ヴァニタ君も!
よかった!!二人とも生きてて本当によかった!!」
判定はすぐに下された。
引き分け…否。
デイジーが有す不死身の肉体により、ミルフィオーレの勝利と。