キヒヒ!!
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「マーモンいねーよ?」
「なんと」
ベルにうるせぇってナイフ投げられた。
「なあ、ヒマなら王子の相手してくんね?」
「いいですよ」
あちらさんもおヒマだったようだ。
飛んできたナイフを先ほどのように指で挟み取る。
「お返しします。廊下のど真ん中でやめてくださいよもう壁が穴だらけになりますよ」
近寄って2本のナイフの取っ手側を彼に差し出すと、彼はじっと私の手を見て、
つねった。
「なにすんですか」
「メイドってさ、戦えんの?」
「微力ながら」
「…なーんだ、」
彼は顔を上げた。
あ、やな予感。
彼は人を小馬鹿にするような薄笑いを浮かべ、もう片方の手に隠し持っていたナイフで、つねっていた私の皮膚を切りとった。
血とともに肌の中身があらわになった。
「なにすんですか」
「叫べよ。つまんねーな」
「がああああああああっああ、あああああ!!うっうああっ!い、痛い、私の手が、血が…」
「うっせー」
「どうしろってんですか」
彼は私の手からナイフを取り去って、ニンマリ笑った。
私の皮膚が、ぺいっと投げ捨てられた。
「遊ぼっか」
「…ですよねえ」
片足を引いて、腰を落とす。
あー…、どこまで相手すればいいんだろう。
飛んできたナイフを掴み、その尻尾(ワイヤー)を切りながら、しかし適度に掠りながら、欠伸をひとつ。
この目、全部見える。
動きもナイフの軌道もゆっくりゆっくり。
「欠伸すんなよっ…と!メイドのくせに」
「酸素が足りなくて。すみません」
「ちぇ、非戦闘員かと思ってたのに、なかなかやるじゃん。ワイヤー即バレてんの」
「ありがとうございます」
「王子、ちょっと本気出しちゃう」
「いいですけど、命のやり取りまでは勘弁ですよ。王子様」
「うしし、どーかな」
「おいおいちょっと?」
あーあーもーそんなナイフ取り出しちゃって。
「四方八方囲二重に囲んじゃって殺る気満々じゃないですかやだー」
「王子の攻撃欠伸しながら弾いたんなら、まあくたばりはしないっしょ」
クイッと、ベルの手首がかえされた。
「ダンス見せてよ。ししし」
全方向から迫るナイフとワイヤー。
集中。ゆっくり、やって来る。
大量のナイフをガサッと掴み取り、一方向へ流すように投げる。
第二陣も同様に。ワイヤーの確認忘れずに。
ナイフは全て、私の背後へ飛んでいく
「……げ」
ワイヤーの束をわしっと纏めて掴み思いきり引き寄せれば、ベルがバランスを崩す。
お手々血塗れだけど気にしない
「よいしょー」
回り込んで、両腕を背面に固定。
で、そのまま背中にずんとのっ掛かる。
「ぐげぇ!重…ッ?!」
「王子様、死ぬかと思いましたよ」
「死ぬっ!王子が今死ぬ!圧死するっどけってメイド!デブ!」
これでも体重かけきってはいないんだぜ。
片腕床についてるし
「200kg近くありますからねぇ今の自分ハハハ」
「いいからどけって!」
「あぁ〜王子様温かいナリィ……」
「きめぇし!!ぁああ!メイドの血ぃ下着まで滲んできたんだけど!最悪!死ね!」
「おうおう暴れちゃって、ロデオロデオ」
「なにじゃれてるんだぁお前ら」
「げ」
「やあ!マイスィート!いつ見ても綺麗だ」