キヒヒ!!!!

□61
1ページ/5ページ

マッッズ!!!!
ボェエエエエエエ!!!!頭痛してきた!!!!

裏山の適当な場所でデイジーの髪を少し食ったところで気付いた。
これ食えない。

なぜかなんてヴェルデ様に聞いて。

つまりデイジーは私にとって、人としてカウントされなかったという。

うーん?ならほんとなんで初対面で食おうとしたかね。

デイジーたんの髪の毛もぐもぐ。
マッッズ。

だめだこれ、とどめさして捨ててこう。


頭部と胸部をつぶして埋めてきた。


さて次は赤塚魅々子探しだ。

ヴァリアーに連絡するなら通信手段が必要だ。
そして私はその方法が分からない。

ならばスクアーロを探すか。
どうせ魅々子はイタリアだ。ならば護衛でも何でもつけるよう言いつけておかなくては。


そーしーたーらー……えー……。
入口……並盛神社?

そもそも連絡手段生きてんのか?

…………。

心配。

「しんぱいいいいい!!!!」

叫んだら周囲の鳥が一斉に飛び立ちやがったけどほっとけ!

白蘭が魅々子抹殺指示出してたとして、主力戦で数が減ったとはいえそれは表向きの数だろ???
真6弔花の部下だとかがハッタリでないなら全くもって安心できない。
ヴァリアーアジトの場所がばれていない限り安心かもしれんが……それこそ雑魚しか残ってないから見つかったら一瞬だろう。

いっそヴァリアー幹部と一緒にこっち来てくんないかな。それが一番楽な気がする。
なんにせよ連絡手段がほしい。
私この時代のヴァリアーアジトの場所知らんからもしイタリア密航してもそこまでやん。

となるとやっぱ、スクアーロか。
それ以外にヴァリアーとコンタクトとる方法がない。

ん?

「……まてよ、それ以外……」

まてまて、ちょっと考えよう。
可能性は低いがヴァニタはどうだ、10年前のやつだとしても、魅々子の重要性を知っているなら連絡手段探して掴んでるかも。
もしくは、ヴァリアーと面識あるやつ。骸とか、リボーン、それから……

「あ」

ジャンニーニ。

ジャンニーニがいるやん。

「いるやん。」

メカニックだから器機死んでてもなんとかなるんじゃね。

「……したら基地だわどっちみち」

神社いくべ神社。
入り組んでようがとにかくうろついて、物音をたどればいい。

さあ参ろうか。
全ては私欲と逃避のため。

ヴァニタはここでなければいけないというが、私は別にそうではない。

この世界でなくても別に構わなかった。
痛みと苦痛と汚物にまみれたものに痛め付けられるような世界でなければ。

美しいものはもちろん好きだが、たとえ彫刻のように美しくなくとも、化物は好きだ。危害を加えられない限りは愛しこそすれ恐れる理由はない。
高望みするならば、下半身が蛇とか蜘蛛とか魚だったりする男か鳥人なんかと結婚できれば最高だな。
そういうのの妻になるっつうのに怯える描写がある恋愛漫画なんか嫉妬と怒りで読んでいられなくなるくらいには。

妙な願望はおいといて。
この世界でなくても構わないとはいえ、
この世界から離れる気は更々ない。

この世界に執着はなくとも、
この私は力と才に恵まれている。私は恵まれなかった。だから、有能であることを手放したくもない。

まあ、元の世界に戻らなくて良いと言うならば捨てても構わないのだが。

さてそうと決まって走り出した私はとんでもないものを発見するのでした。

「こんにちはー」

「ヒエッ」

川平のおじさん。
距離があったにも関わらずこちらに気付いて言葉を投げてきた。

なぜこんな山奥に。
それに、川平不動産からここまでかなり距離あるんですけれども。

「こんにちは」

近付くこと無く挨拶を返せば、急に柔らかな雰囲気が一転、値踏みするように睨まれた。
そんなに見つめられると照れちゃうぞ!

マッハで近付いてみた。

「これからどう行動するつもりかな?」

全く動じず、マッハの風圧に指先すら乱すこともなく。
まるで当然のように質問された。

「なにそれこわい」

「うん?」

まず気付くのは、彼から身体の音がしないこと。
否、聞きとれないのか。声は聞こえるのだから、無音なわけではない。
でも、まるで現実みたいに、目の前の人の身体の音が、心音が、血液の流れる音が聞こえない。
ヘルリング?否、気配と実際の音は違うはず。いや、それすら消す効力なのかもしれない。

「なにか?」

「……アッなんでもないっす」

「そう。それで?」

「えっ」

「これから何をするつもりかな?その答えを聞きたい」

「えっと。すみません、私、ここ10年の記憶をなくしてまして、」

「まずは問いに答えるものだ。返答によっては情報をあげられるかもしれない」

「………。」

広角の上がった発音は気さくな耳触りをしていたが、その眼は鋭く、空気は張りつめている。

音が聞こえない。
気持ちがわからない。
少し前までの当たり前が、こうも恐ろしいなんて。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ