キヒヒ!!

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「とりあえず離れて黎明」
「やだやだ放したら逃げるでしょ黄昏ちゃん
 ツナ、このままで悪いね。

 ただいま」

「……、うん、えと、

 おかえり…二人とも!」

逃げていいっすか。
今の私には眩しすぎる。
居心地の良さと特別扱いに慣れたくない。

まあそんな願いも叶わず、手を引かれて。

「久几…!、いや、ベッラ。なにもされなかったか……?!」
「大丈夫ですよ。心配ありがとうございます」

諦めて言われるまま適当に身支度を済ませてパーティーへ連行されていった。


「で。
 手を放してくれませんかね黎明さんよ」

道中ただでさえランボ引っ付いてるのにこの黎明も手をつないだままだし。

「やーだ!」

これだよ。

「そうだはなせー!ランボさんの久几だぞ!」
「ちがいますしー!俺の黄昏ちゃんですしー!」
「………。」

ランボとヴァニタが思いのほかうざくて暑苦しい。

「ランボ!いいかげんにしろって!火下咲ちゃんが嫌がってるだろ!」
「やだー!絶対に嫌だもんねーーっ!!」

ツナが引っ張ってくれてるけど一向に離れないどころか泣き出しそうになるし。
ああもう。

「ありがとうツナ。いいよもう」

鼻水つけられたくないし

「ぐははは!苦しゅうない!!」
「ご、ごめん火下咲ちゃんランボが…」
「ええんやで。ツナがしわ寄せ受ける必要ないしっていうかこのパツキンの方引き受けてむしろ」
「パツキン!?酷いや黄昏ちゃん!名前で呼んで!!?」
「じゃあお前も名前で呼べよ」
「それはいや!君の特別でいたい!」
「じゃあ黎明パツキンな。」
「うー!」
「つか私じゃなくてツナと絡んでろよ薄明サマ?」
「……え、えーと」

ほらーツナが困ってる。

「いけ黎明!ツナにダイレクトアタックだ!」
「わん!!」

と思ったらなんだノリいいな。
けしかけられたツナは黎明に抱きつかれて別の意味で困惑してるし。

「おっホモか?(歓喜」
「ホモだな(確信」

「うへへ」
「ちがうから!!!」

リボーンとからかったらツナ必死でクソワロ。

ランボもランボで抱いて撫でてりゃウッソみたいに大人しくなったし。

微笑ましいツナとヴァニタ眺めながら歩幅と速度をちょっと落としてランチアの横まで。

「……どうした?」
「いえ別に?」

やっぱ落ち着いてる人のが落ち着くわ。
いやあまあイーピンとフゥ太引っ付けて大変そうだことですが

っとフゥ太と目が合った。

「こんにちは」
「こ、こんにちわ!」

挨拶したら青ざめて目をそらされた。
えっなにその心音。めっちゃバクバクしてんだけどなんだよ何に脅かされてんだよ

「あららのら?フゥ太の変なやつー!」
「コワクナイヨー」
「……ホントに?」

びくびくとこちらに視線を戻すフゥ太。
黒曜編では会わないように避けてたから私のこと知らないはずだが

「…ねえランボさん、私ってこわいですか?」
「は?なんでー?」
「……だ、そうだよ少年。
 あ、自己紹介しようか?火下咲久几、みんなの友達だよ」
「僕…フゥ太。
 ……ごめんなさい!やっぱりなんかこわい!!」
「オゥ」

さっとランチアの陰に隠れられてしまった。

「お、おい…」
「ハハハええんやで。気持ちわかるし正直でいいよ」

人食いだもの。血のにおいくらいするさ。
好かれるってことは嫌われもする。
そういうことなのだろうきっと。

「ん?どうした少女」
「……」

イーピンと目が合った。
なんか会釈されたからとりあえず会釈し返してみた。


そうこうしているうちにやまもっちゃんの家についたぞ!

賑やかな気配が伝わってきますなあ。


そういえば昼だけど、原作では夕方じゃなかったか?
ツナの睡眠時間短くなってる?……うーん、
あ。
そうか、黎明の存在かもしれないな。

睡眠時間の長さに身体的疲労はあまり関係ない。
どちらかというと精神的疲労によるものが大きい。

黎明がツナの心の拠り所として機能してるのなら考えられる話だ。

いやいや待て、そうしたら…パーティーの時間ごとずれてる理由には…あれー…?
うーん、主人公であるツナの起床時間に引っ張られて起きる事実になってるってことか。

「久几ー?もっと撫でろ!」
「……あ、はいはいすみません」

こまけぇこたぁいいか。
帰らなくていいのなら、この世界がどう転ぼうが構わない。

最低限物語に沿わせたい気もあるが。

目の前で寄り添う大空と薄明を眺めた。
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