キヒヒ!!

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「そして、火下咲久几の隣に立つ者も、僕だけで良い」

「……火下咲……?」

「ええ。僕は彼女が欲しくてたまらない。
 黒曜に誘ったら、転校するのが面倒だと断られてしまいましてね
 …だから並盛ごと僕のものにするのです」

「それも叶わないことだね。
 あれは僕に惚れてるんだ」

「クフ、それは違います。
 彼女が好きなのは、この僕ですよ

 ……昔からね」




とかいうことがあったらしい。黒曜編で。

なんっじゃそら!!!なに適当なことぬかしてんだあの野郎!

「どういうことなのか、聞かせて欲しいな」

「どうもこうも」

おまえもどういうこっちゃねん。

「……何?」

とか言いながら、足を絡めて明らかに折ろうとしてくる彼。
以前だったら折れてたけど、筋骨改良した今ならば折れない。
腕も振りほどけないだろうハッハー

「彼とは……ずーーうっと昔に偶々同じ施設に居たってだけだよ」

「それで?」

「でっていう?」

「……それで、今は、どういう関係?」

「あー……」

なんだろう

「友達です」

「へえ……友達」

「ええ」

「あれは君をそうは思ってないみたいだけど?」

「みたいですね」

不機嫌にムッと喉を閉める音がした。
なになに

「……何とも思わないの?」

「可愛い人だとは思います」

「そう……よくわかったよ。」

「ん、それは何よりで。」

「放してくれない?」

「目の包帯、取ろうとするから嫌です」

「取らないよ」

パッと彼の両腕を解放した。

解放したとたん彼は私の上から飛びのいてくれた。
なら私は眼鏡を拾わんと体の向きを変えたところで、

「うおっ」

眼鏡が押し付けるようにかけ直された。
飛びのきざまに彼が拾ってくれたのか

「あ、ありがとう…」

なにだなんだどういう風の吹き回しだ?
とりあえずかけ直された眼鏡の角度の微調整をして立ち上がる。

「……考えてたんだ」

立ち上がれば、ぽつと、しずくのように彼が呟いた。
雲雀さん今度は何言い出す気だ?

「どうして……、


 どうして、君の口から好きという単語が出るたびに、頭の中がざわつくのか」

「え…?


 って、え?は?」

なに?なんつったこいつ今?

「どうして、
 きっと明日にはいつものように姿を現すはずだ、と
 まるで縋るように、君を取り巻くすべてをそのままにしてきたのか」

「ちょ」

「どうして、君に女を感じる度に頭痛に似た不快を感じるのか」

「え」

「どうして、君の顔を打ち壊してやりたくなるのか」

「あの」

「自覚してる。
 こんなの、絶対に僕じゃない」

「頭打った?」

「そうだよ」

「えっ?」

「君のせいだ」

……えっ?
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