キヒヒ!!

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「おーーーい。いつまで寝こけてんの」

頭をたんたん叩かれた衝撃で目を覚ます

「しし、動いた」

この声はベルか

「んっん゛ん゛っんー……あ゛ー、おはようございます」

「おはよ。チッチョーナ」

喉を開けて気配を探れば、彼は上体を起こし、こちらに注意を向けていた。
まあデブと言われた瞬間から私に向けてだってわかってましたけど。

「……日本の女性はデブって言われるの嫌いな人多いんですよ」

「あん?だからなに?」

「……いえ。別に

 それよりもマーモン様の気配がしないんですが」

「もう行ったよ。」

「え」

「王子意識戻ったばっかだし、流石に今日は抜け出す気ないかなーつったら、どっかいっちゃった」

「そうですか」

「ん♪」

思い返せば、マーモンには汚いところばっか見られちゃったなあ。
そのうえで、ごく冷静な声色で、嫌いって。

どんな汚いところ見せても当たり前に受け入れてくれたヴェルデのようにはいかないようだ。
マーモンは彼のように無頓着なわけではないらしい。

…さて、私も行くか。
雲雀さんに聞きたいことあるし

身を引くべく、繋がれたままだった手を放したのだが、なぜかベルの手によってすぐに繋ぎ直されてしまった。

「なにしてんの?」

「いやこっちの台詞なんですけど」

「繋いできたのそっちじゃん。意識戻る前からずーーーっと
 突然放されたら手寂しいのわかるでしょ」

「ナイフでも握ってればいいじゃないですか」

「ふーん。王子に口答えするんだ」

「提案です」

「なら却下。
 オレまだ身体いてーし、動くのダルいんだよね」

「はあ」

「今夜の戦いまでまだ時間あるし、そ れ ま で」

彼は突然、起こしていた上体を倒した。
当然つながった手も引かれる。

腕とか引かれるたびに思ってるんだけど、私の比重的な意味で正直ビクともしないんだよね。
そのせいで肩痛められたくないから自分の意思で連動するんだけど。

「ゴロゴロしてよーよ」

再び横になったベルは、前のめりになった私から身体を遠ざけるように位置をずらした。
そして今度は寄せるように手を引いてきた。

「許してやるから来いよ。ホラ」

「は、あ」

彼に導かれるままベッドに倒れ込んだ。
彼を潰さぬよう注意しつつ、靴を脱ぎ捨て彼が身を引いて空けたスペースへ。

………なんかベッドから凄い音したけど、耐えてくれたようだ。
これがフッカフカのスプリングマットレスベッドだったらと考えると面白いことになっていたところだが。

「どういう風の吹き回しですか…」

「ずっと起きる気配のないお前見てたら、王子ももうひと眠りしたい気分になってさ
 だから起こしたんだ。」

「……嫌じゃないんですか。こんなデブと寝るの」

「は?なんで?」

「えっいや…」

「オレさ、この繋がった手から伝わってくる、あったかいドクドクが結構気に入っちゃったわけ。

 熱くて、くっついて、一つの器官になっちゃったみたいに連動する感じ、
 ……王子初めて。溶けちゃいそう」

「は、はあ…」

どういうことなの

ああ、怠惰に過ごせるのはいいけど、雲雀さんにあのあのあの……あーー…

「私もお布団入っていいですか」

「いーよ」

オフトゥンには勝てなかったょ……。
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